堂本光一(39)が主演する舞台「Endless SHOCK」が東京・帝国劇場で上演中だ。00年に初演されて以降、公演のたびに進化し続けながら、3月末には通算1630回を達成するなど、ミュージカル単独主演記録を更新している。観客数は293万人を数え、初演以来、18年間も公演チケットは前売り開始と同時に即日完売となるなど、人気ぶりは衰えを知らない。

 その人気公演の作・構成・演出をするジャニー喜多川氏が先日、2020年の東京五輪開催期間に合わせて、「SHOCK」を上演しようというプランを明かした。現在、昼公演は午後1時や3時、夜公演は午後6時の開演だが、ジャニー氏は「オリンピックを見た後に来ても間に合うように、期間限定でもっと遅い時間にしてもいいんじゃないか。日本は夜、遊ぶところが少ないから」と提案したという。

 ニューヨーク・ブロードウェーやロンドン・ウエストエンドなどの劇場は午後8時開演が一般的だが、日本の場合は開演時間が6時や7時と早い。最近急増している海外からの観光客からは「東京は夜に楽しめる場所は少ない」と不満の声が上がっていることもあって、都内のいくつかの劇場では外国人観光客を主たるターゲットに、8時開演で、殺陣や日本舞踊などを盛り込んだ、せりふなしのノンバーバルのパフォーマンス公演を始めている。

 しかし、準備不足などもあって、公演自体のクオリティーが低いため、集客に苦労しているところが大半だ。その点、「SHOCK」は多様なフライングをはじめ、イリュージョン、派手な立ち回り、22段の大階段落ち、和太鼓演奏にダンスなど、和洋のエンターテインメントがぎっしりと詰め込まれ、その完成度は毎回満員という実績で証明されている。

 実は1964年(昭39)の前回の東京五輪の時にも、期間中の歌舞伎座では特別興行「ナイト・カブキ」が上演された。通常の歌舞伎公演終了後、第一部の歌舞伎・文楽による公演が午後9時40分に開演し、第2部の「日本の踊り」は午後11時40分の開演だったという。当時、客の入りを心配する声もあったそうだが、開演前には切符売り場に長い列ができるなど、多くの外国人客を集めたという。

 歌舞伎界でも20年に同様な特別興行を計画している。それに「SHOCK」が加われば、日本のショービジネスの多様性を海外にアピールする絶好の機会になるだろう。【林尚之】