東京・新橋演舞場で舞台「少年たち 君にこの歌を」を見た。ジャニーズJr.内ユニットの「HiHi Jets」と「美 少年」が主演したが、彼らがメーンとなる舞台を見るのは初めてだった。

「少年たち」は少年刑務所を舞台に、さまざまな事情を抱えた少年たちの姿を描いた作品で、1969年にフォーリーブスの主演で初演された。その後、2010年に復活上演され、これまでA.B.C-Z、Kis-My-Ft2、関西ジャニーズJr.らが主演しており、今回はSixTONESとSnow Manが主演した19年版以来、2年ぶりの上演だった。

実はこの公演を見るかどうか迷った。今年の9月は例年以上に舞台数が多く、観劇日程が詰まっていたためだ。それでも、あえて見ようと思ったのは、初演以来、企画・構成・総合演出で「少年たち」を育ててきたジャニー喜多川さんの遺志を受け継いで、滝沢秀明副社長が「少年たち」の演出を手掛けていること、そして、「少年たち」に主演したグループは必ずデビューするという伝統の舞台に挑む若いグループを見てみたいと思ったからだった。

結果から言うと、見てよかったと思った。コロナ禍とあって、休憩なしの上演時間105分に凝縮された舞台はテンポよく、登場人物の設定も演じる彼らのキャラクターに寄り添って作り上げられ、共感が持てた。上演時間の関係で本編後のショータイムは短くなったけれど、滝沢演出らしく、ドラム演奏でカラフルな水演出を取り入れて、楽しませてくれた。何より、将来的にドラマや舞台で活躍するだろう「スター」の原石に出会うことができた。

このほか、ジャニーズWEST桐山照史が主演する舞台「赤シャツ」も良かった。夏目漱石の名作「坊ちゃん」に登場する教頭の赤シャツを主人公にした舞台で、「坊ちゃん」では敵役だった赤シャツの視点から描いた秀作。週明けにはSexy Zоne菊池風磨が主演する帝劇「DREAM BOYS」を見る予定。2004年に滝沢主演で初演以来、キャストを変えて進化してきた舞台。

今回、どんな舞台を見せてくれるのだろうか。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)