V6が11月1日をもって解散します。ジャニーズには数多くのグループがいるけれど、V6ほど舞台で活躍するメンバーが多いグループはなかった。その筆頭が坂本昌行と森田剛だった。坂本はミュージカル、森田はストレートプレイが中心だったが、ともに演劇界で確固たるポジションを築いている。

坂本は00年「シェルブールの雨傘」をはじめ、「フットルース」「ザ・ボーイ・フロム・オズ」「Zorro The Musical」などミュージカルで数多く主演してきた。その中で演技力に磨きをかけ、最近は新国立劇場で「君が人生の時」「Oslo」の現代劇にも主演するなど、俳優として幅を広げている。

森田は05年にいのうえひでのり演出の劇団☆新感線「荒神」で舞台初主演し、蜷川幸雄さん演出「血は立ったまま眠っている」「祈りと怪物」、宮本亞門演出「金閣寺」、鄭義信作・演出「すべての四月のために」、岩松了作・演出「空ばかり見ていた」、英国の気鋭の劇作家、演出家とタッグを組んだ「FORTUNE」に主演するなど、国内外の第一線の演出家、劇作家に「1度は一緒にやりたい」と思わせる俳優に成長した。

岡田准一は03年の蜷川幸雄さん演出「エレクトラ」など舞台出演は少ないが、身体能力も高いシャープな演技で鮮烈な印象を残した。三宅健は歌舞伎と縁が深く、「炎立つ」で歌舞伎俳優片岡愛之助と共演し、新橋演舞場「滝沢歌舞伎」には3年連続で出演した。19年には市川海老蔵の六本木歌舞伎「羅生門」に出演し、今年も市川猿之助主演「藪原検校」で盲目の塙保己一など何役も献身的に演じた。

井ノ原快彦、長野博も数々の舞台に出演しているが、印象深いのは2人で共演したミュージカル「プロデューサーズ」や坂本を含めて3人で共演した「オン・ザ・タウン」。コメディータッチの舞台で、みんな仲良く楽しそうに演じて、その空気感が客席にも伝わってきたことを覚えている。

解散後もいくつか主演舞台が決まっている。坂本は来年1月のシアターコクーンで13役を演じるミュージカル「マーダー・フォー・トゥー」に主演し、三宅は来年2、3月の新橋演舞場「陰陽師」で安倍晴明にふんして演舞場初主演を果たす。森田も来年は2年ぶりの舞台が控えているという。V6は解散するけれど、「元」メンバーが活躍する舞台を見る楽しみは続いていく。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)