都内の某大型繁華街を歩行中、向かい側から歩いてきた、手をつないで明らかに“ラブラブムード”だったカップルが何となく視界に入ってきた。

視界のはしでとらえた全体的雰囲気から、知っている人のような気がしたので、2人の顔におもむろに焦点を合わせると、予感がヒット。なんと、いずれも知人だったのだ。

手をつないでいる状況などから熱愛関係であることが強く疑われたが、もしそうだとするとこの2人、不倫関係ということになる。かなりの驚きとともに、筆者は心の中で「ま、まずい」とつぶやき、約0.1秒後にあくまで善意で、パッと目をそらした。

万が一、ばったり出くわす状況になると、その2人は相当気まずい思いをすることになるであろう上、今後の筆者との人間関係もおかしくなる可能性があることから、「気をつかって、見て見ぬフリをすることにした」というわけだ。

大型繁華街で知人不倫疑惑カップルと目が合う寸前になっただけでここまで緊張感に包まれるとは想定外だった(写真と本文に直接的関係はありません)
大型繁華街で知人不倫疑惑カップルと目が合う寸前になっただけでここまで緊張感に包まれるとは想定外だった(写真と本文に直接的関係はありません)

すると、筆者が目をそらした推定0.2秒後、2人は明らかにこちらの存在をキャッチしたとみられ、突然、歩みを止めた。恐らく「あ、Hさんだ…」的な言葉を小さく交わした後、不自然なアクションで約90度進路を変え、筆者と目が合わないような感じで、すぐ近くの飲食店店頭にあった宣伝看板を眺め始めたのだ。

まさに筆者の視線と、2人の視線が0コンマ何秒差かで交錯し、ギリギリ、完全にぶつかることを防げた瞬間的“攻防”と言えた。もし同時に視線がぶつかっていたら、筆者もリアクションのとりようがなく、“大事故”に発展していた恐れすらある、緊張した状況だった。

結局、筆者は、不自然に向きを変えた2人のことを「全然気づいていない」的な感じを全身からかもし出しながら、その男女の背後を自然体で歩き、通りすぎた。

大型繁華街の、広めの歩道で人通りが多く、「互いに気づかなくても、それほどおかしくない」シチュエーションだったから良かったが、こちらも妙に手に汗握ってしまい、気疲れしたのも事実。

その2人は恐らく一瞬ひやっとしつつも「8割以上の確率で筆者に気づかれていない」と思ったであろうが、もし、ほかに歩行者がいない、ごまかしようのない路地のような場所で、こうしたカップルと偶然すれ違う状況になってしまったらどうすればいいのか。

まず、日常的なスタンスとして、そもそも「そのような人が少ない場所におけるシチュエーションでは、すれ違うカップルの顔を最初から見ないようにする」という姿勢が重要か。もともと見ていないのだから、仮に知人不倫男女とすれ違ったとしても、何ごともなくその状況が終わる。

ただ、そうしたカップルを見てしまった上、視線が合ってしまった場合はどうするか。これは、相手のカップルとの関係性によるが、

<1>意地でも気づいていないフリをする。

という手が1つ。また、

<2>視線が合った直後にスマホに電話がかかってきたフリをして「エア電話」し、「視線が合ったかもしれないが、ほぼ同時に電話のほうに意識がいったため、視線が合った相手を誰だか認識しきれていない」という雰囲気をかもし出す。

という手もあるか。もしくは、

<3>完全に開き直って爆笑しながら「見ちゃった~」とツッコミを入れ、その後、絶対口外しない約束をする。

…という“荒技”もなくはないか。いや、

<4>その2人が、酒に酔った勢いで冗談でたまたま手をつないでいただけと解釈した体にしつつ「なに、酔っぱらって手をつないでるんですか!」みたいにいじっておく。

というパターンも、かなりややこしい戦法だが、状況次第では、相手に「逃げ道」を与えるという意味で有効かもしれない。

ただよく考えたら、繁華街で手をつないで歩く不倫疑惑カップルは、その時点で「知人に偶然目撃されてしまうリスク」を分かった上でそうしているわけでもあり、こっちがそこまで気をつかう必要もないかもしれない。

……みたいなことを昨日、デスクワークの際に考え始めてしまい、全体的作業が15分ほど遅延した上、気が散ったことで3案件も業務上のミスをおかした。【文化社会部・Hデスク】