全米でベストセラーになった自叙伝の映画化。北米西海岸を南北に縦断する自然歩道パシフィック・クレスト・トレイルを1600キロ歩いた女性シェリルの話です。私、約800キロ歩いたことあります。30年前に東京から青森まで。ひまでアホな学生が「昔の人は歩いたんやから」とてくてく…24日間ほどかかったけど、何とも言えん達成感みたいなもんはありました。

 シェリルはがんで母を亡くした喪失感からヘロインにおぼれて、浮気しまくり、離婚して…人生をリセットすべく挑むわけです。いわゆる“自分探しの旅”とはいえ、ようあんな道を歩いたなと。山道で、夜は獣にも警戒せなならん。足の裏がボロボロになるんはようわかるけど、私の場合、舗装された道やったし、ヤブ蚊に悩んだ程度やから、絶対無理や。リアリティーはかなりのもんですわ。

 製作・主演は「ゴーン・ガール」のプロデューサーやったリース・ウィザースプーン。あの映画は女の狂気にビビッた。今回も女の内面性を描いた点でよう似てる。「全部、自業自得ちゃうの?」と思う部分もあるけど、男目線かな。女が見たら…かなりグッと来るやろなあ。【加藤裕一】

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