三谷幸喜監督(54)が2年ぶりの新作で自身、初のSFに挑戦した。登場人物全員が宇宙人で、宇宙の幹線道路「ギャラクシー街道」沿いのハンバーガー店を舞台に描かれる群像劇だ。

 日本を代表する脚本、演出家であり、映画監督としてもヒット作を連発する三谷監督だけに、見る側のハードルは高い。公開前、映画の現場では「宣伝文句の『爆笑必至』まではいかないが、やはり面白い」「舞台を見ているみたい」「粛々と進み、ヤマ場がない」など賛否両論に分かれた。

 試写を見た後、店から関係者のみ入れる内部に移動する場面など、舞台ではなしえないスムーズな場面転換に「やはり映画だ」と感じた。SMAP香取慎吾(38)演じる店主、綾瀬はるか(30)演じる妻など数多くのキャラが登場しながら上映中、1人も脳裏から消えることがない、群像の描き方の巧みさに感心した。

 三谷監督が「良い気持ちで終われる映画を作りたかった」と言うように、ほほ笑ましい笑いが魅力だろう。邦画屈指の豪華キャストを集めながら、クスッと笑える一見、地味な、舞台のようで映画のようで、その両方でもないものを作り上げる。“三谷娯楽”という言葉がふさわしい作品ではないだろうか。【村上幸将】

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