やばい。いかつい。生々しい。86年、全米で治安最悪やったカリフォルニア南部のコンプトンから生まれたギャングスタ・ラップ(暴力的日常がテーマのラップ)グループ「N・W・A」の軌跡を映像化した。ヤクの売人イージー・Eが、実力派DJのドクター・ドレーや、詩才あふれる高校生ラッパーのアイス・キューブと出会い、差別への怒りを発信し、権力と衝突しながら成り上がる。金を巡って仲間割れ、HIV感染して死んでもうたりする。

 ヤクの売人が、ラッパーに転身? ほんまに黒人が道に立ってるだけで、白人のポリさんが「ギャングやろ?」と暴力的な尋問すんの? 「ほんまかいな?」と思うエピソードが満載…というか全編そればっかり。2時間20分以上、目が離せんかった。

 音楽的にも完成度は高いみたいや。一緒に試写室で見てた、一目でその手のプロとわかる兄ちゃんらが「いや、ええもん見せてもろたわ」と喜んどった。全米興収3週連続1位。「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」のオープニング興収を抜いた。音楽にうといから、難しくもあったけど、圧倒的な熱量だけは保証しますわ。【加藤裕一】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)