所々で美人やったり、そうでもなかったりする小松菜奈。邦画で今、出演数が(多分)一番多い菅田将暉。実直さそのまんまの重岡大毅。顔がクセになる上白石萌音。危なっかしい青春映画にピッタリのキャストに感心した。

 親の都合で田舎の島に引っ越してきた15歳の夏芽(小松)が、奔放な名士の息子・航一朗(菅田)とデキてまうけど、夏芽がストーカーに狙われて、航一朗は守りきれず…。

 基本ボーイ・ミーツ・ガールやけど、夏芽と航一朗のギラつき具合は、昭和の名作「狂った果実」を思わせる。魔性を感じさせる天才役者2人のハーモニー。要所で印象的なBGMが流れるんやが、そんなん必要なかったんちゃうか。2人に振り回される勝利役、重岡の“フラれるエエ人”ぶりは見事過ぎて、フラれっぱなしの人生を送ってきた身には胸が痛い。2人の理解者ぶりながら、最後に本音を見せるカナ役の上白石はもっと見たかった。

 見た直後はそうでもないんやが、1週間たっても余韻が頭を離れへん。私らオッサン世代には役者の力強さが、ティーンには映画のパワーそのものが訴えかける。とんがった1本です。【加藤裕一】

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