柴犬を飼っていたこともあり、子供のころから断然、犬好きだった。しかしここ数年、近所にたむろしているネコを見て、ほのぼのする気持ちになっている。NHK「岩合光昭の世界ネコ歩き」に見入り、動画サイトの自分的再生回数は、柴犬動画にネコ動画が迫る勢いになってきた。前置きが長いが、そんな理由で当作を選んでみた。

 ニャンマン社長、もとい、ワンマン社長(ケビン・スペイシー)が事故で意識不明になり、なぜかネコの体に心が入ってしまった物語。ネコになって初めて、家庭を顧みなかった自分や、家族の大切さに気付く。

 そもそもなぜネコに? という疑問はあるが、「ネコは9つの生を持つ」ということわざにちなんだ「NINE LIVES」が原題。名作絵本「100万回生きたねこ」のような深い話…でもないので、あまり考えずコメディーを楽しんでほしい。

 「主人公」ネコは、ロシアのプーチン大統領が、以前秋田県知事に贈ったネコと同種類のサイベリアン。CGの作り込みがやや過剰な当作より、同県サイトに載っているミールと名付けられたネコの動画の方が自然でかわいいかも。

 スペイシーとクリストファー・ウォーケン、アカデミー俳優の、こわ面白い共演も見もの。【小林千穂】

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