製作開始45周年を迎えた日活ロマンポルノのリブート(再起動)プロジェクトの第2弾で、ロカルノ映画祭のコンペにも出品された注目作。

 元舞台俳優の高介(永岡佑)は世捨て人となり、山小屋で女関係とは無縁の日々を送っている。そんなある日、なぞの女汐里(間宮夕貴)と高介を追って来た元俳優仲間の女(鈴木美智子)に生活を邪魔されていくうち、封印していた性欲が呼び覚まされていく。

 間宮の脱ぎっぷりに、鈴木の永岡への絡み方など、女性陣は肉食ぞろい。妻と高介の浮気を疑う喫茶店の主人(テイ龍進)など、まともでリアル感のある登場人物はほとんどおらず、そこは「黄泉がえり」などの塩田明彦監督ならではのファンタジーか。緊張感のある長回しや、撮り直しが利かない場面も多く、製作費の制限がある中で役者陣の頑張りが光る。

 序盤は絡みシーンが少ないが、永岡のスイッチが入った瞬間から、終盤は格闘技のような激しい「試合」の連続だ。雰囲気は徐々にコメディータッチになり、最後は「ドリフかよ!」と思わず突っ込みたくなる。結局、男の欲望は抑え切れないということか。【森本隆】

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