奇想天外な話はおもろい。この映画がまさにそれ。「まさか」の連続がめっちゃ楽しかった。

 1つ目の「まさか」は、モンスターパニック映画っちゅうこと。中国の巨匠チャン・イーモウ監督のハリウッド・デビュー作で、タイトルが万里の長城。さぞ荘厳で凜(りん)として…と思ったら、全然ちゃう。60年に1度出現する伝説の怪物を、長城の攻防戦で食い止める。「饕餮」(とうてつ…漢字難しすぎる!)いう、ものすごく気色悪いクリーチャー。女王の率いる大群が地を埋め尽くすさまは、まるでエイリアンがナウシカのオームになる感じ。弱点はなぜか磁石。近づけたら、おとなしくなるって…何やそれ、意味がわからん。

 2つ目の「まさか」は、マット・デイモン。中国語が飛び交う中で、西域から来た傭兵(ようへい)として八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せる。そのミスマッチ感が笑うほどたまらん。

 間違いなく好き嫌いは分かれる。全然ダメな人もおるでしょう。しかし、中国系のお家芸ワイヤアクションもあって、中国人女優ジン・ティエン演じるリン隊長の軍服姿もたまらん。私は「絶対あり!」です。【加藤裕一】

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