◆イコライザー(米)

 か弱い女性を守る、スネに傷を持つ屈強な男-。「レオン」「アジョシ」のような話で、社会の片隅でひっそり暮らし、問答無用の殺人術で悪を断つのも似てる。ただ、決定的に違う点がある。ジャン・レノ、ウォンビンが演じた主人公は社交的やなかった。守るべき相手が、心を許せる唯一の存在。その病的な精神状態が醸し出す純粋さにシビれたわけやが…。

 デンゼル・ワシントン演じる元CIA工作員マッコールは汚れ仕事に嫌気が差して引退、ホームセンターに就職する。深夜の読書タイムで利用するレストランで知り合った売春婦テリー(クロエ・グレース・モレッツ)を元締めの乱暴から助けたことで、裏社会に目を付けられてしまう-。

 マッコールにとって大事な存在はテリーだけやない。警備員試験に挑む職場仲間を鍛えたり、周囲を笑わせもする。社交的で、病的なものはあまりない。つまり人間的な成熟度が高い。そのへんは下手したら、魅力減になりそうやのに、そうならんのがワシントンの力なんでしょう。危なっかしさがない。ホッとする。かっこええ。

 “大人のレオン”もよろしおまっせ。【加藤裕一】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)