快進撃が止まりません。将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が昨年12月のデビュー戦から公式戦連勝記録を「18」まで伸ばしています。非公式戦ながら、羽生善治3冠(46)を破り、衝撃を与えました。実力はすでにトップレベルですが、グッズも異例の早さでトッププロの仲間入りします。

 6月に座右の銘を揮毫(きごう)した藤井四段の扇子が発売される予定です。関西将棋会館(大阪市福島区)の1階にある将棋グッズを扱う販売コーナー。ガラスケースの中にはトップ棋士の扇子がズラリと並んでいます。ここに藤井四段の扇子が加わります。

 「A級8段に昇進されたときやタイトルを獲得されたときなどに作られることが多いですね」と担当者。名人などのタイトルを獲得すると「名人扇子」、「竜王扇子」などトッププロになればなるほど、何種類もの扇子があります。昨年10月、史上最年少の14歳2カ月でプロデビューした藤井四段ですが、段位が四段で扇子が作られるのは、もちろん初めて。グッズも“史上最速デビュー”となりそうです。

 販売コーナーで人気のある扇子は、やはり羽生3冠です。「知足(ちそく)」の直筆の2文字が印刷された「上扇子」の値段は2160円(税込み)。文字は2文字や4文字が多く、棋士の思いが詰まっています。

 「知足」の意味は「自分の持ち分に満足し安んじて、それ以上、欲ばらないこと」。中国の古代の思想家・老子の教えです。足ることを知ることが人生の幸福になる-。日常生活ではついつい不平不満ばかり言いたくなりますが、それではダメ!ということですね。

 地元関西の棋士も人気があります。今年3月に3度目の王将奪還を果たした、兵庫県加古川市出身の久保利明王将(41)です。扇子の文字は「万里一空(ばんりいっくう)」。意味は「目的、目標、やるべきことを見失わずに励む」。久保王将の謙虚な人柄が出ています。

 販売コーナーには「藤井四段の扇子は?」の問い合わせも増えているといいます。扇子は棋士の人気のバロメーター。いまのフィーバーぶりだと、発売と同時に売り切れなんてこともあるかもしれません。

 扇子の端にはその当時の段位が刻まれます。「藤井聡太四段」。この強さなら四段の期間も短いかもしれません。「四段」が刻まれた扇子は将棋ファンにとってはお宝グッズになるかもしれません。最年少タイトルも期待される中学生棋士。どんな思いを込めた言葉を扇子に揮毫(きごう)しているのか、楽しみです。【松浦隆司】

(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)


関西将棋会館の販売コーナーで人気がある羽生善治3冠の扇子(撮影・松浦隆司)
関西将棋会館の販売コーナーで人気がある羽生善治3冠の扇子(撮影・松浦隆司)