新年早々、交際女性などを演じる接客サービス「レンタル彼女」の求人だと偽り、応募してきた女性を性風俗店に紹介したとして、サイト運営会社の代表らが職業安定法違反の疑いで逮捕された事件を取材しました。職業紹介会社「レック・インターナショナル」が入る雑居ビルは風俗店がひしめく大阪・キタの歓楽街にありました。このキタで20年以上、風俗関係の仕事をする男性に話を聞きました。今回の「レンタル彼女」には深い闇があるようです。

 「清楚(せいそ)系、それと女子力が高い子が多いな」。レック社の仲介を受けて風俗店で働く女性の特徴について男性はズバリ、言います。

 男性の年齢は50代、以前にキタで起こった殺人未遂事件を取材しているときに知り合いました。持って回った質問をすると「何が聞きたいねん!」と、はねつけられます。建前はなし。会話はストレートです。

 大阪府警によると、レック社は「日本彼女代行センター」という虚偽の求人サイトを運営。「彼女役大募集中」などとうたい、時給3500円以上、休日にデートするだけで日給3万円以上が稼げると掲載。デートなどの際は性的サービスのほか、手をつなぐことも禁止すると説明していました。

 応募してきた女性とは大阪市内で面接し、担当者が「レンタル彼女の仕事はほとんどない。少し性的なサービスがあるほうがもっと稼げる」などと執拗(しつよう)に誘い、ホテル派遣型ヘルス店などへの仕事を紹介する手口でした。レック社は150もの架空サイトを運営し、同じ手口で性風俗店に数百人の女性を紹介していたとみられています。

 「狙いは風俗の経験がない素人さんやな」。男性によると、最近は性風俗産業で働く女性の数が増え、敷居が低くなっているそうです。「ソープランド」「ピンサロ」「店舗型ヘルス・エステ」「デリバリーヘルス(デリヘル)」など形態やサービスによってさまざまに分かれています。

 「この世界、清楚系を好む男も多いからな。ただ敷居が低くなった言うても、素人さんが性風俗に入るきっかけはそうそうあるもんやない」

 架空の「レンタル彼女」の求人サイトには短時間で高給のほかに「バイトしながらおいしいご飯を食べることができる」「女子力がアップ」などと自分磨きができるような言葉もちりばめられていました。

 レック社は女性を紹介した見返りに、性風俗店から女性の紹介料を受け取っていました。「事件の裏は?」の質問に男性は「ある」。

 男性はたばこの煙を一気に吐きだしてこう言いました。

 「あいつらの女の子の高ぶらせ方は好きやない」

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)