京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオで34人が死亡した放火事件は21日、発生から3日がたちました。焼け焦げた建物の前には、花束、水やお茶が入ったペットボトルが供える人が多く訪れています。

放火と殺人の疑いなどで逮捕状が出た青葉真司容疑者(41)に似た男が、事件数日前から現場周辺で複数の住民に目撃されていました。近所の住民らは日常の風景に「異変」を感じていました。

京都アニメーションのスタジオは京都市伏見区の閑静な住宅街にあります。京阪電鉄六地蔵駅の北側に位置し、同駅からは徒歩約5分。幹線道路から住宅街に入ると、両サイドには一戸建ての住宅が立ち並んでいます。幅約3メートルの道路を道なりに進むと、奥まった突き当たりの場所にスタジオがあります。スタジオの横にある細い道を通り抜けることはできますが、車はそこで行き止まりになります。

近所の主婦(39)は「この周辺の道路は住民以外はあまり使いません」。ところが事件数日前、住民たちの「生活道路」に大柄の男が姿を見せるようになりました。

主婦は言います。「事件の数日前からです。見慣れない赤いTシャツの男が何度も目撃されていた。近所でもうわさになっていた」。同じ服装で、何度も住民の「生活道路」に入ってくる不審な男。目撃した60代の女性は「数日前の夜でした。男がスタジオをじっとみていた」と証言しました。複数の住民が目撃した「赤いTシャツの男」。住民らが口に出さずにはいられないほど、日常の風景の「異変」だったようです。

犠牲になった多くの京都アニメーションの社員が朝に道路を通り、通勤するのは住民たちにとっては日常の風景でした。近所に住む40代の男性は「私が出勤するとき、いつもすれちがった、あの若い女性は…」。女性の名前は分かりませんが、日常の大切な存在でした。「なんとか無事で…」。男性も祈っています。

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)