夏の台湾公演主演が決まっている花組トップの明日海りおは、13日に兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた花組公演「ミュージカル カリスタの海に抱かれて」「レヴューロマン 宝塚幻想曲」で、トップ2年目へ入る。前トップ蘭寿とむ時代から引き継ぐ“バーベキュー決起集会”も、今年は実現できそう。美貌の新世紀リーダーに、たくましさも加わってきた。宝塚公演は4月20日まで。東京宝塚劇場は5月15日~6月14日。

 「気合を入れて、エネルギッシュにいかなければ」

 繊細なイメージもあった明日海だが、声の強さ、大きさも変わってきた。

 昨年末、100周年ファイナルとなった「タカラヅカスペシャル」で、5月に退団する星組トップ柚希礼音ら先輩とともに、初めて組の顔として出演した。同じ新トップの雪組・早霧せいなも学年は先輩。引っ張られ、刺激を受けた。

 「チギさん(早霧)はお披露目前で忙しい時期なのに、この場面はこうしようとかすごく熱い方で。自分ももっともっと、熱く取り組んでいかなければと」

 5月にトップ就任丸1年を迎える。同期の望海風斗が雪組へ異動するなど、メンバーも様変わり。「カリスタ-」は、脚本家・大石静氏の作で、トップ初の2本もの。初のショーもある。

 「新しい顔ぶれもいますし、すごく新しい感じがします。みんなが使命感に燃え、水を得た魚のように生き生きとしていて、エネルギー源です。最下級生だった子が、お兄さん、お姉さんの顔になっている」

 昨春入団した100期生の組配属も決まった。威勢よい言葉で、グイグイ引っ張るだけがリーダー像ではない。昨年のトップ就任時、明日海は「花組の先生になりたい」と言っていた。

 「人に伝えるのって、すごくエネルギーもいるし、考える。自分の考えを押しつけるんじゃなくて、一番分かりやすい方法で、みんなに教えていきたい」

 若い花組の“教師”としての立ち位置を意識。下級生は「分かりやすく教えてくれる」と受け止める。今回、トップ娘役の花乃まりあとのコンビでは、本拠地お披露目となる。

 「学年差もあり、まりあちゃんも緊張すると思うけど、壁があるうちは良い舞台ができない。余裕があるときは、食事に連れて行き、けいこが終わったら反省会、自主げいこもして、お互いに理解し、高め、支え合っていけるように」

 そう話した明日海は、ひとつ、未達成の公約が実現できそうだと報告した。

 「バーベキュー、まだ行けていない。この大劇場公演終わった後とか、どうかなって思っているんです」

 公演合間のオフに、キャンプや食事会など行い、結束を高めるものだが、花組は蘭寿時代から、その手段はバーベキューだ。昨年のトップ就任時から、恒例行事の機会をうかがっていたが、100周年イヤーは多忙で実現していなかった。

 「静岡で海を見て育ったので、自然が好き。都会の街並みより山や海。宝塚の街も大好き。寒いのがダメ。夏、とくに初夏が好き。だからバーベキューは(4月下旬の)宝塚公演後か、(6月下旬の)東京公演後かって考えているんです」

 ほほえましい伝統の宴(うたげ)が実現すれば、“明日海先生”の花組は、団結力がまたアップする。【村上久美子】

 ◆ミュージカル「カリスタの海に抱かれて」(作=大石静氏、演出=石田昌也氏) 「ふたりっ子」「功名が辻」などを手掛けた大石静氏が、11年「美しき生涯」以来、宝塚では4年ぶり2作目の書き下ろし。地中海のカリスタ島を舞台に、フランス軍将校として、故郷に戻ったシャルル(明日海)の闘い、島の女アリシア(花乃)との愛を中心に描く。

 ◆レヴューロマン「宝塚幻想曲(タカラヅカ・ファンタジア)」(作・演出=稲葉太地氏) 優美、繊細、そして情熱的かつ大胆。明日海の新たな魅力を、レビューで表現する。宝塚の王道ショーで、8月の台湾公演でも新たな演出を加え、上演予定。

 ☆明日海(あすみ)りお 6月26日、静岡市生まれ。03年4月「花の宝塚風土記」で初舞台。月組配属。08年「ミー・アンド・マイ・ガール」で新人公演初主演。11年「アリスの恋人」(バウ)主演。12年4月に月組準トップ。13年1月から三井住友VISAカードのキャラクター。同3月、花組へ移り、昨年5月に同組トップ。昨夏の「エリザベート」では卓越した歌唱力を披露。身長169センチ。愛称「みりお」。