雪組の「ひかりふる路(みち)」「SUPER VOYAGER!」が明日10日、兵庫・宝塚大劇場で開幕する。新人公演には6年目の綾凰華(あや・おうか)が初主演に抜てきされ、宝塚が今月28日、東京は来年1月25日公演。

 雪組異動後の初作品で、綾凰華の新人公演主演が決まった。

 「ビックリする暇、不安に思っている時間があるなら、ちょっとでも練習したい。新生雪組の門出で足を引っ張らないように、背中で語ろうと思っても、やることがいっぱい。足がもたついています(笑い)」

 初々しさの中に、若手らしいすがすがしさも。急な組替えだった。星組の前回本拠地作「スカーレット・ピンパーネル」公演時には、通達されていなかった。

 「(複数班に分かれた別箱の)阿弖流為(アテルイ)のお稽古中に聞いたので直接、あいさつもできない方もいた」

 クラシックバレエを4歳から習っていたが、男役のダンスは違った。配属時のトップは、ダンサー・柚希礼音。柚希の稽古を「SSS席で見られる」思いで見て学んだ。芝居心は、星組時代に現トップ紅ゆずるからたたきこまれた。

 「新人公演で2作連続、紅さん(が本役)の役をいただいて。マネをするだけではダメ、1から自分で芝居を死ぬほど考えなきゃ、とすごく怒っていただいた。感謝しています」

 6年目で初主演は早くはない。組替え即、主演を引き寄せたのは「ロベスピエール愛」。星組最後の「スカピン」新人公演で、同役を演じ、その演出担当は今作の生田大和氏だった。

 「本公演もロベスピエールの弟役で、前世でフランス革命の時代を生きていたんじゃないかと(笑い)。生田先生と、ロベスピエールについてすごく熱く語り合ったんですよね」

 運命というより必然。今作は全曲、フランク・ワイルドホーン氏の書き下ろし。トップ望海にあわせ、難易度の高い楽曲も多い。

 「家でも、望海さんの歌を録音したものを聴いています。曲数が多すぎて、てんやわんやですが(笑い)。歌に関しては今、一番の課題だと思っています。望海さんから勉強させていただけるのはありがたい」

 ダンス、芝居の次は歌の試練。組まわり時代、花組公演に出演し、当時花組にいた望海の歌唱力に圧倒されたことも。「不思議なご縁を感じます。今回、望海さんには、体当たりで分からないことに聞きに行きます」。全身全霊でぶつかる覚悟だ。

 ◆ミュージカル「ひかりふる路(みち)~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~」(作・演出=生田大和氏) 18世紀末、フランス革命の中心人物の1人、革命家のマクシミリアン・ロベスピエールの半生を描く。宿願の憲法承認を得たロベスピエールらはパリ市民から歓呼の声に迎えられるが、時代は混迷を続ける。理想を求め、頂点へ猛進する青年の身に起こる運命的なロマンス。彼が掲げた「自由・平等・博愛」へ込められた思いを探るミュージカル。

 ◆レヴュー・スペクタキュラー「SUPER VOYAGER!」-希望の海へ-(作・演出=野口幸作氏) ヴォイジャー(航海者)をテーマに、望海のトップ就任と新生雪組の「船出」を祝うレビュー。プロローグは豪華客船の出航をイメージ。

 ☆綾凰華(あや・おうか)1月5日、宝塚市生まれ。12年初舞台後、組回りで同夏の花組公演出演。昨年の「こうもり」「桜華に舞え」新人公演で、連続して本役が現トップ紅ゆずる。今夏、礼真琴主演の星組公演「阿弖流為」を終え、8月7日付で雪組へ。祖母、母が宝塚ファン。身長169センチ、愛称「あやな」。