20周年の宙組新トップコンビ、真風涼帆と星風まどかは、16日に兵庫・宝塚大劇場で開幕する「天(そら)は赤い河のほとり」「シトラスの風-Sunrise-」で本拠地お披露目を迎える。星風はタイムスリップの設定に映画「本能寺ホテル」の綾瀬はるかをイメージして役作りに励む。宝塚大劇場は4月23日まで、東京宝塚劇場は5月11日~6月17日。

 トップ娘役とはいえ、宙組初の生え抜き就任。4年目で頂点に立った。100期生初トップだ。「いただく課題が多すぎて、慣れることはあるんでしょうか」。抜てきにいまだ戸惑いもある。14年の初舞台後、配属前の組回りの段階で、主人公の少年時代を任されたが、当時は「ただうれしくて、楽しくて。怖いものがなかった」と笑う。

 同じ抜てきでも違う。技術不足を自覚し、怖さも覚えた。男役の同期も、新人公演主演などの大役を得始めた。「私もうれしいし、誇りです」。相手役に迎えられた真風から、自らを客観視するよう教えられた。

 「今、自分がどう見えているか。自分では分からないことも教えてくださって。私だけじゃなく、組子全員に。その姿を見て、舞台人として尊敬しています」

 前トップ娘役、実咲凜音は歌、ダンス、芝居ともに優れ、あこがれだった。

 「技術面では歌声から地声への滑らかなチェンジ、美しく見えるドレスのさばき方。加えて娘役としてのあり方、お衣装の着こなし、髪形の作り方と、娘役にしか分からないこともすべて教えていただいた」

 今作は古代へタイムスリップする高校生役。「キャピキャピした感じは、私の素とは違う」と悩んでいたとき、偶然、テレビで「本能寺ホテル」を見た。国こそ違えど、時空を超えるドラマ。綾瀬はるかの演技にピンと来たという。

 「現代人の私にとって当たり前でも、移った時代の人から見たら私が異色。その最初の違和感、戸惑いを、綾瀬さんはすごく自然体に演じられていた」

 ショーは宙組の代名詞「シトラスの風」。以前、全国ツアーで再演されたが、当時は別班公演に出演しており、公演後、仲間の舞台を北海道まで見に行った。

 「組メンバーは(2班に分かれ)半分しかいないのに、キラキラしていて。涙が出てきた。同期と一緒に1泊のプチ旅行でした」

 羽根を背に大階段を下りる初日を思い「楽しめるように、準備して迎えたい」。若くても自分が見えている。しっかりと階段を踏みしめられそうだ。

 ◆ミュージカル・オリエント「天(そら)は赤い河のほとり」(脚本・演出=小柳奈穂子氏) 篠原千絵氏の傑作漫画を原作にしたミュージカル。舞台は紀元前14世紀、古代オリエントのヒッタイト帝国。世継ぎと目される第3皇子カイル(真風涼帆)は、呪術によりタイムスリップさせられた現代の女子高生、鈴木夕梨(星風まどか)と出会う。実子に皇位を継がせたい皇妃ナキア(純矢ちとせ)の所業と知ったカイルは夕梨を側室に置く。

 ◆ロマンチック・レビュー「シトラスの風-Sunrise-」(作・演出=岡田敬二氏) 98年の宙組誕生時に上演された「シトラスの風」の最新版。「飛翔」「誕生」をテーマに「すがすがしく、さわやかで、若い」風と、王道レビューをあわせた詩情作品。

 ☆星風(ほしかぜ)まどか 11月11日、東京都生まれ。14年入団の100期生。同11月、配属前の宙組公演「白夜の誓い」で、凰稀かなめ演じるグスタフ3世の少年時代役に抜てき。15年2月に宙組配属。同6月「王家に捧ぐ歌」新人公演、同10月バウ「相続人の肖像」で初ヒロイン。16年「ヴァンパイア・サクセション」で、真風の相手役ヒロインも。身長162センチ。愛称「まどか」。