宝塚 ~ 朗らかに ~
夢の舞台を創り続けて100年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている夕カラジェンヌの横顔を伝えます。
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“王様”から100期生へ橋渡し役/龍真咲
[2014年4月17日10時57分 紙面から]
- 立ち姿がりりしい月組トップスター龍真咲(撮影・今中雄樹)
今月100周年を迎えた宝塚歌劇団は現在本拠地・宝塚大劇場で月組の3本立て「日本絵草紙『宝塚をどり』」「明日への指針-センチュリー号の航海日誌-」「TAKARAZUKA 花詩集100!!」を上演中だ(28日まで)。トップ龍真咲は、レビューの王様と称された演出家白井鉄造氏の墓を参った。初舞台を踏む100期生にはエールを送り、過去から未来への橋渡し役になる。東京宝塚劇場は5月16日~6月15日に上演する。
100周年の節目に本拠地公演を行っている龍は「特別な記念の舞台。劇団にとっては、新たなスタートへ向かう大切なとき」と話す。看板の重みは特別だ。今年初作品となった前作「風と共に去りぬ」で、専科スター轟悠のレット・バトラーを相手に、女役スカーレットを演じた。
「男役を早くやりたい思いは、心のどこかにフツフツとありました(笑い)。男役と十数年間、一緒に歩いてきましたから。今、自然体に戻った気がしています。男役は、自分の理想像に近づけて作り上げていくもの。戻ったとき、あらためて、自分が(男役として)何を目指したいのかを再確認できた気がします」
同時に、相手のトップ娘役愛希れいかに求めるハードルも、期待も高まった。
「女性が女を演じるからこそ難しい。(女役経験から)男役がされてうれしいこと、そうじゃないことを教えていかなきゃと。愛希はしっかりと勉強して成果を出してくれると思う。愛希も(今作が)勝負のかけどころじゃないですかね」
愛希とのトップコンビで次のステージを目指す。今回は和物ショー、芝居、レビューと、龍にとって初の3本立て。宝塚歌劇のレビュー、ショーの礎を作った白井氏の墓参もした。
「どんな物になるのか、はっきり見えなかったんですが、先生方と触れ合い、すっきりしました」
その白井氏が33年に手掛けた「花詩集」を、100周年バージョンとして上演。衣装スタッフに仏の新進デザイナー、アントワーヌ・クルック氏を招いた。
「レビューはある意味、ファッションショー的要素もあるかも。中詰めから盛り上がり、舞台上で何着も着替えていく感じです」
芝居は軽妙タッチに定評がある石田昌也氏の演出で「明日への指針-センチュリー号の航海日誌」。船上員と、若き人妻を中心に繰り広げられる祝祭劇だ。
「恋愛ものですが(宝塚の)清く正しく美しくの精神が盛り込まれていて、おもしろいですよ」と、いたずらっぽく笑った。
今公演、新入団100期生が初舞台を踏む。そんな新人たちとすでに会った。
「先日、音楽学校へあいさつに行き、100期生にも会いました。同期で同じ舞台に上がり、初舞台を踏む。(節目の)100期生というのは、見えないプレッシャーがあると思う。でも、私たち(月組)がしっかりと土台を作っているので『それ(重圧)に負けず、自分たちがやることに責任を持って専念してほしい』と伝えました」
先人に飛躍を誓い、後輩に奮起を促す。101年、200年へ、橋渡しをする立場で、自身はトップ就任4作目。脂が乗る時期だ。
「そうですね。安定を求めちゃいけない。4作目といっても1、2作目は役代わり、3作目のルパンが一番、緊張感があったと思います。今回は、その緊張感に加え、自分たちが楽しんでいる姿を見せたいです」
今年は、本拠地のほか、外部公演、全国ツアーが続く。
「体とともに気持ちの切り替えが大事。ちゃんと自分で、スタートを切ってあげるっていう。私は比較的、千秋楽でパッと次に切り替えられる方ですが。たまに、ドライブなんかで、気分転換もします」
今年は女役スカーレットで始まり、今回は3本立て。次回大劇場作は、シェークスピアの「真夏の夜の夢」がモチーフで、人間に恋をした妖精が主人公の「PUCK(パック)」。元月組トップ涼風真世の代表作だ。「今年は女から男、そして人間じゃない生き物までやります」。スカーレット役では女役の声でも魅了した。「声を操ることは得意。それを生かしていろいろなことをしたい」と、新境地を開いていく。【村上久美子】
◆日本絵草紙「宝塚をどり」(作・演出=植田紳爾氏) 祝典舞踊、日本の民謡、100年にちなみ百花の王・ぼたん、百獣の王・獅子などを題材に構成する和物レビュー。
◆プチ・ミュージカル・プレイ「明日への指針-センチュリー号の航海日誌-」(作・演出=石田昌也氏) 禁酒法時代、1900年代初頭のロンドンから、ニューヨークへ向かう貨客船が舞台。小説家志望の通信士と、若き人妻を中心にした恋愛劇。
◆グランド・レビュー「TAKARAZUKA 花詩集100!!」(作・演出=藤井大介氏) 白井氏が33年に発表した「花詩集」を機に、宝塚歌劇のレビュー、ショーは発展してきた。この原点作を現代バージョンで復活させる。
☆龍真咲(りゅう・まさき)12月18日、大阪府生まれ。城星学園を経て、01年「ベルサイユのばら2001」で初舞台。07年1月「パリの空よりも高く」で新人公演初主演。12年6月、月組トップに就き「ロミオとジュリエット」で、お披露目。昨年は本拠地作「ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-」「ルパン」のほか、梅田芸術劇場で「ミー・アンド・マイ・ガール」、全国ツアーで「仁-JIN-」。今年1月、梅田芸術劇場公演「風と共に去りぬ」では、轟悠のレット・バトラーを相手にスカーレットを演じた。身長171センチ。愛称「まさお」。
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