月組期待の美形スター朝美絢(じゅん)が、22年ぶり再演中の「ミュージカル PUCK(パック)」新人公演で初主演を務める。あこがれの俳優小栗旬と芸名の名付け親が同じで、名前の一部に「旬」が入るだけでなく、舞台姿の参考にもしている。宝塚大劇場は10月21日、東京宝塚劇場は12月4日に登場する。

 「PUCK」は、92年に涼風真世主演で初演。妖精パックが人間の娘に恋をして成長していく物語だ。

 「妖精役ってすごく難しい。元気いっぱいで、男の子みたいなイメージがあるので、そこは自分の(若い)持ち味を生かして、自分なりのPUCKを見せたい。小学生からクラシックバレエを習っていて、好きなのはダンス。でも、今はお芝居をもっと磨きたい」

 華やかな立ち姿で人気急上昇の若手スターは、あらゆることから刺激を受ける。中でも「運命」に従うように小栗には学ぶことが多い。芸名の命名を頼んだ相手が、舞台監督を手掛ける小栗の父の知人だった。

 「小栗旬さんの旬の字をつけられた方で、私が小栗さんを好きだとお話ししたら、旬の字を入れて絢(じゅん)の名前をつけてくださいました」。小栗と会ったことはないが、舞台や映画は見ている。最新の主演映画「ルパン三世」も観賞した。

 「格好いいだけではなくて、映画でもお芝居でも目線とか、宝塚的なキメ方をされる。ウインクもされるんですけど、その表情もセリフの間も、映像だとやり過ぎ? ってところまでやるのに、自然な感じ。イケメン俳優の域を超えた舞台姿といいますか、男役として参考になります」

 小栗スタイルで、男役としては小柄な体格を大きく見せたいという。

 宝塚が、NTTドコモのマルチメディア放送「NOTTV」と組んだ番組で、AKB48シングルのセンターにも抜てきされたHKT48の宮脇咲良(さくら=16)と仕事をともにした。アイドル最前線を歩む、年下から受ける刺激も大きかった。

 「すごく若くて、かわいかった。でも、誰よりもマジメで、アイドル業に全力でぶつかっている。自分の夢に向かって強い信念を持っていて、そこは私と共通すると思いました」

 俳優、アイドルと他業種からも、舞台人のヒントを取り入れ、センターに立つ。「包容力があって大劇場よりも大きな男役、余裕のある男役になりたい」と誓った。【村上久美子】

 ◆ミュージカル「PUCK(パック)」 シェークスピア「夏の夜の夢」がモチーフ。妖精パックが人間に恋をし、愛を得ようと奔走。人間になるまでを描く。92年、涼風真世主演で上演した。

 ☆朝美絢(あさみ・じゅん)11月6日、神奈川生まれ。09年4月、宙組公演「Amour それは…」で初舞台。月組配属。身長169センチ。愛称「あさみ」「あーさ」。