こんにちは、淳です。今週からニッカンスポーツ・コムで連載がスタートします。

最近「コンプライアンスって何だ?」って、よく考える。最近誰もが口にするコンプライアンス。漢字で書くと「法令順守」。でも、面倒くさい言葉です。

  身ぶり手ぶりを交えて話す田村淳(撮影・丹羽敏通)
身ぶり手ぶりを交えて話す田村淳(撮影・丹羽敏通)

 テレビの番組をやっていて、企画が自由に成立しない理由のひとつに、この「コンプライアンス」があります。「コンプライアンス」のひと言で、スゲエ簡単に物事が片づきます。数年前までは聞いた事もなかった英単語で、おさえつけられているのが今のテレビの番組作りの現状です。

 番組とかツイキャス(撮影した動画をネット上で生中継できるサービス)の生配信をやりたいと思っても「コンプライアンス」でアウト! 番組の偉い人は「コンプライアンスに引っ掛かるから」と駄目出し。アイデアを出してない人も「コンプライアンス」のせいにしています。

 順序を踏まずに「コンプライアンス」という言葉のせいにする輩(やから)が多すぎます。「コンプライアンスがあるから」と企画をチェックするプロデューサー目線。「コンプライアンスがあるから」と企画を出せない放送作家目線。どっちも同じ「コンプライアンス」という言葉を使っているけど、使い方が違う。そこいら辺が重苦しいし、一タレントが、あれこれ言っても誰も耳を傾けてくれません。

 テレビ朝日でやっていた「ぷらちなロンドンブーツ」では、素人の女の子の部屋を調べて浮気調査する「ガサ入れ」とか、今じゃ「コンプライアンス」に引っ掛かってできなくなった企画がたくさんあります。他にも、「コンプライアンス」的には、いろいろな問題があるんだけど、昔からやってるから、と許されて放送できているものもある。所ジョージさんが日テレでやっている「笑ってこらえて!」だって、素人に突然、カメラを向けて、撮影しながら声掛けしているけど、もう20年近くやっちゃっているから許されている感じ。今の堅苦しい「コンプライアンス」だったら、番組スタッフが、まず内容を説明してからカメラを回さなくちゃいけなくなる。でも、それじゃあ、素人さんの面白さは出てこないよね。

 この間、BSスカパー!で「地上波ではできない番組」を作れっていうから、「しゃぶしゃぶ食いながら、シャブをやってた人とシャブについてのトークをやりたい」って言ってみた。そうしたら、BSスカパー!の人が「いいっすね」ってOKが出た。「マジすかっ!?」って感じ。そういう時は、スゲエ気持ちいい。

 それで元光GENJIで覚せい剤で2回逮捕された赤坂晃君を呼んでトークした。

 トークの導入のところでは、赤坂君とふざけているんです。しゃぶしゃぶ屋でシャブのトークなんで「何グラム頼みます?」「200グラムで」「多いっすね」って感じ。最初はふざけてるんだけど、覚せい剤の話になると「なんでやり始めたのか」「なんでやめられなかったのか」「どういう風にしてやめたのか」。俺が聞きたかったのは、普通のニュースじゃなくて、こういうことだったの。

 それに「なるほど」と思ったのは執行猶予のこと。執行猶予になると、犯罪を犯した人が罪を軽く受け止めちゃうんですって。「あっ、刑務所に入らなくてすんだ」みたいに罪の意識が薄れて、再犯しちゃうって。

 地上波だったら編集でカットされちゃうと思うけどね。でも、オンエアされたのを見たら、なんでこれが地上波で放送できないのか分からなかった。作品として良くできていたし、覚せい剤のことがどれだけ悪いかということも伝わっている。犯罪防止に役立つと思うんだけどね。次はぜひ、マーシー(田代まさし)でお願いしたい(笑い)。

ニッカンスポーツ・コムで連載始めます!
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 ネットの世界でもみんなが言いたいことを言って、右の意見もあれば、左の意見もある、でいいのに、ひとつの意見が出て来ると、よってたかってつぶす。つぶすことで楽しいのか、そこに自分の生きがい、存在価値を見いだしているのかね。

 矢口真里の不倫騒動の時だって、俺は「迷惑をかけた人やファンやスタッフへの謝罪は必要だけれど、それで十分で、世間には謝罪する必要なし」って思ったから発言したんだ。でも、そしたら、こっちに矢が飛んできた(笑い)。テレビで不倫ドラマを見て喜んでいる人も、リアルの世界であると、よってたかってたたく。SMAPの草なぎ君主演で「任峡(にんきょう)ヘルパー」っていうドラマがあったよね。ヤクザが駄目っていっているのに、あのドラマはよかったのかな。テレビ局の人に聞いたんだけど、誰も答えてくれなかった。「あ、また俺、聞いちゃいけないこと聞いちゃった」と思ったよ(笑い)。

 本音を言えないのは、つまらないよね。俺は芸能界にいたいと思っているけど、言いたいことも言えないままで芸能界に居続けなくちゃいけないのなら、別にいいかな、とも思っている。自分でツイキャスとかで生配信できたら、それが芸能活動であり、個人の活動でもあるんで、あんまり線引きがないんだよね。

 例えば、俺がフライデーさんに、何かを撮られちゃったとする(笑い)。でも、その中に間違いがあって、誤報だとしたら「撮られましたけど、事実はこうです」って、すぐ発信できる。もちろん、事実の部分はちゃんと認める。すぐ発言できる場所を持っているっていうのは、気分的にも楽なんだよね。

 でも、真実じゃない方が勝っちゃう場合がある。まっ、フライデーさんに、そんな恨みがあるわけじゃないので、あくまでも芸能スクープメディアの代表として挙げさせてもらったわけですが(笑い)。だからネットっていうのは、すごく重要だよね。地上波と、うまく対抗できるくらいのバランスがあればいいんだけどね。(つづく)(取材・小谷野俊哉)

(ニッカンスポーツ・コム「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」)