政治に興味を持ったきっかけは「テレビでできないことが多くなってきたなあ」と感じて、いったいどこがルールを作っているのか調べたことからだというロンブーの田村淳。政治について語る2回目は、いつか選挙に出るのではないか、という噂の真相も初めて明かしてくれた。

国会の正門前に行ってみた。立候補はしないけど、政治には興味がある(写真は本人提供)
国会の正門前に行ってみた。立候補はしないけど、政治には興味がある(写真は本人提供)

 来年から選挙権年齢が18歳に下がる。でも、投票に行く人は圧倒的に少ないと思う。若いうちから選挙権を与えることには賛成だけど、与えたところで多くは行かないと思う…というのを、みんな理解しておかないと。政府は、選挙権年齢を18歳に下げたところで若い人の力が政治に影響力があると思っていない…選挙に確実に行く60、70、80代の方の票を手堅く取りに行くっていうスタンスを変えることはないと思う。


 僕は、60歳を過ぎた人の投票権は1票の半分、0・5票でもいいと思っている。すっげえたたかれるかもしれないけれど、本気でそう思う。

 年齢を重ねれば重ねるほど国に言いたいことが出て来るでしょうが、どこかで未来の世代につなげていかないといけない。動物本来の「つなげていく」という作業を考えれば、やっぱり若い人に今後の日本をどうしていきたいか考えさせないといけないし、その意見を政治に反映していかなきゃいけない。でも今は、おじいちゃん、おばあちゃんの票で世の中が変わっていっているという現実を、もう1度考え直す必要があると思うんです。


 たとえば、大阪都構想。現状を変えたい、と思っていた若い人たちの意見が、年配の人の意見でひっくり返ってしまったという事実を見て、おじいちゃん、おばあちゃんはどう思っているんだろう。直接聞いてみたいなと思う。若い人が賛成なら、自分の息子や孫がそう言っているのなら、賛成しておけばよかったという人もいると思う。人として遺伝子を未来へ未来へと、つなごうとしているのなら、自然とそうなるんじゃないかな。だから暴論だと分かっていて言うけど、年金をもらい始めたら0・5票。1票入れるなら、年金はもらわない!とか。0・5票は自分のために、残りの0・5票は未来の子供達のために使って欲しい…。

おれは政治家じゃないから、感覚的に自由に表現していいじゃない?

 百田尚樹さんの沖縄の新聞社への発言の時も感じましたけど、政治家ではない人達は言論の自由があるんだから、もっと批判を恐れずに感じた事を言って良いと思う。何となく思うことって、実は大切じゃないかな。


 そこまで言うなら、政治家になりませんかって、よく言われます。でも、絶対ない!20000%ない。橋下さんが「20000%出ない」と言って(選挙に)出ましたから、僕は「20001%」ない!(笑い)

政治家のセンセーは国会の中。僕は、こちら側を自由に歩く(写真は本人提供)
政治家のセンセーは国会の中。僕は、こちら側を自由に歩く(写真は本人提供)

 現実には、いろんなところから「選挙に出ませんか」って誘われますよ。党の名前は出さないです…詮索されたくないし、オファーはいろいろな党から来て欲しいので(笑い)。出馬はしないけど、どんな党の人が、淳を必要と思ってくれているか知りたいんですよね。だから、話は聞きます。


 でもね、話を聞くと「え、おれが必要ですか?」って思ってしまう。おれが1人で政治の世界に入ったって何もできないのに、誘うということは、票につながるとか、何か党にプラスになるということがあるんだろう。

 ただ、「出てください、出てください」ばかりで、本当におれが何をやりたいのか、こちらの思いを聞いてくれた人は、今まで1人もいなかった。

 「淳さん、もし政治に興味があるのなら、どんなことをやりたいですか」「それをやりたいなら、うちの党ですよ」っていうのが正式な誘い方だと思うんだけど、今までそんな誘い方をしてくれた方は1人もいなかったなあ。だから、出る気にもならなかった。


 実は今、出馬しない理由を初めて言いました。もう答えを言っちゃったから、今後「どんなことやりたいですか」って誘い方で来ても意味がない(笑い)。もっと独自の誘い文句がないとね。

 「何をやりたいか」というのは基本中の基本だと思う。それが共有できていない人から一時的に利用したいだけという理由で誘われても、そういうところには絶対に行きません。


 もうひとつの出馬しない理由は、僕は「死ぬ覚悟」がないと本当の政治はできないと思うから。

 田原総一朗さんにラジオのゲストに来ていただいた時、言われた言葉なんですけどね。ラジオのアシスタントの女性が「淳さんが政治家になるなら、何を心掛けなきゃいけませんか」って聞いたら、田原さんは「命を捨てる覚悟がないとできない」って。

 今ではよく分かる。本当に命を掛けないとできない仕事なのに、命かけないで惰性で、自分の保身のためにやっている人がたくさんいるから「政治家たちは何しているんだよ」って思われるんだと思います。

 おれは、やっぱり死にたくないし、長生きしたいっていうのが根底にある(笑い)。無理をして命を捨てる覚悟なんてないから、おれには政治家はできないと思う。

僕が行くのはここまで、です。(写真は本人提供)
僕が行くのはここまで、です。(写真は本人提供)

 これから興味を持って見ていきたい政治のテーマは、安倍政権が憲法をどう変えていくか。沖縄の問題や社会保障と税の一体改革もある。国会議員の数も減っていい。なんなら来年の参院選、やらなくてもいいんじゃないですか。改選の分の議員を減らせば、ちょうど半分になる。もしかしたら半分でうまく回るかもしれないし、半分じゃ足りないわとなれば、またやればいいし。


 僕は、今の仕事が楽しいし、好き勝手に言っている方が楽。面倒くさい質問や意見が来ても完全無視すればいい。もし自分が議員になって税金で生活するような人間になったら、その面倒くさい質問を無視することはできなくなるよね。そう考えると、やっぱり僕は政治家には向いていないなあ。(取材・中山知子)(ニッカンスポーツ・コム連載「ロンブー淳の崖っぷちタイトロープ」)