ポストガッキー。政治にスポーツと何かとポストを使いたがる気もするが、期待の表れということでご容赦いただきたく。

少し経ったが、ガッキーロスなるものが確実にあったと思う。コロナ禍の中、在宅の人も多く、それほどニュースにはなっていないが、平時であればかなりの数の独身社員が会社を休んだはずだと予想する。福山雅治ロスと同じぐらいのインパクトだったかと。

新垣結衣。とにかく透明感があり、ドラマに映画にCMとヒット作も多数。いるだけで、見ているだけで、どこか幸せな気分になってしまう不思議な存在である。老若男女、嫌いな人を見たことがない。そんなガッキーがいなくなり(引退したとかではなくあくまで気持ちの問題です…)、我々は今後ポストガッキーを探すこととなる。

これまで人気俳優になるまでのプロセスは何度か書かせてもらっているが、人気女優になるまでについての所感を述べる。王道なのはやっぱり朝の連続テレビ小説。名前を上げればきりがないほど数々の国民的女優を輩出していて、まさに登竜門の名にふさわしい。高視聴率はもちろん、ライダーや戦隊もの俳優と同じく数多くの現場経験を積めることがよいのではないかと思う。

モデルやSNSなどで人気者になってから女優にチャレンジするケースも増えているが、もうひとつの王道は学園ドラマだろう。少し前になるが「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」(日テレ系)や「賭ケグルイ」(TBS系)などからもすでに多数の人気女優が出てきている。

最近だと、先日放送されていた「ドラゴン桜」(TBS系)。生徒役筆頭には今をトキめくKing&Princeの高橋海人、さらに元欅坂46の平手友梨奈。子役出身の加藤清史郎に、女優広瀬すずがスカウトし、映画「蜜蜂と遠雷」で多数の新人賞をとった鈴鹿央士。さらに雑誌「ピチレモン」の専属モデルとして活躍していた志田彩良と、アイドルにモデルに子役出身と各事務所の若手俳優見本市のようなキャスティングは見事の一言である。ちなみに、本作に弁護士役で出演していた長澤まさみは前作の生徒役。当時も他には山下智久、小池徹平、サエコ、新垣結衣、中尾明慶とここでは説明不要の人気者たちがズラリと並んでいた。

少し話がそれたが、ここからが本題。今回取り上げるのは、「ドラゴン桜」において、生徒役の中で2番手にクレジットされていた南沙良。多少クセのあるメンバーの中、今どきの女子高生を好演。レプロエンタテインメント所属の19歳。そう、所属事務所、そしてドラマの先輩がガッキーである。さらにポッキーのCMにも出演しており、来年の大河ではガッキー本人と共演するとのこと。はい、彼女以外にポストガッキーが似合う女性がいたら教えて欲しいとここに断言する。 ちなみに女優としては映画ファンにはおなじみなのかもしれない。「幼な子われらに生まれ」でデビューした後、「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で数々の新人賞を獲得。「無限ファンデーション」や「21世紀の女の子」などインディペンデント作品にも意欲的に参加。現時点では演技派という感じではないが、その透明感のある演技はたくさんの人を魅了している。何より、事務所が彼女に合った役を選び大事に育てている印象を受ける。まだ気は早いが、10年後にはポスト南沙良を探しているのかもしれない。今後注目の女優さんです。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画『リュウセイ』の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営。今夏には最新作「元メンに呼び出されたら、そこは異次元空間だった」が公開。