フジテレビ月9ドラマ「突然ですが、明日結婚します」(23日スタート、月曜午後9時)に主演する西内まりやさんが8日のPR会見の冒頭で語った言葉です。キャスティングの難航でピンチに陥った月9から突然ヒロイン役の依頼を受けての登板。出演者と内容が正式発表されたのが昨年末という、せわしない舞台裏がしのばれます。

 相手役の山村隆太さんも、オファーついて「11月末に本当に突然の話だった」。沢村一樹さんも「いろいろな事情で、昨年の暮れに突然『1月クール』と言われて」と苦笑いし、「僕はさっきクランクインした」と明かしました。

 かつて隆盛を誇った月9ドラマも、ここ数年は最低視聴率の更新ばかりが話題になります。月9に限らず、枠が低迷すると、出てくれる俳優がぐっと減るという悪循環に陥るものです。そんな混乱ぶりが、PR会見の場で明かされるのは珍しいことでした。

 とはいえ、会見を取材した限り、抜群のプロ意識を持った俳優さんたちが集まった印象です。西内さんは「このタイミングで話をいただき、縁を感じました。やるしかないなと、覚悟を決めて集中して演じたい」。沢村さんも、急なオファーを笑い飛ばして会見を盛り上げ、中村アンさんも、意外なおやじキャラを明かして場を明るくしていました。

 山村隆太さんも相当に骨太な男前でした。ロックバンド、flumpoolのボーカルで、俳優業は初挑戦ですが「初めてだからといって作品に泥を塗りたくない。恥をかいてでも、いろんな人に学びたい」とストレートに語りました。

 危機感と緊張感をもって臨む俳優陣の一方で、違和感を感じるのはフジテレビ。取材目的で来た記者たちを「盛大な拍手で出演者をお迎えください!」と観覧客扱いするズレたくだりはいつものこととして、進行のアナウンサーが出演者に「月9というのは特別なものだったと思うのですが」と自分で言ってしまうおめでたい感覚とか。月9の現状を考えるとなかなかシュールな光景ですが、出演者たちは「ミュージカル界の大舞台が帝国劇場なら、ドラマ界は月9」(山崎育三郎)とかあざやかに個性を発揮していました。

 キャスティング難航で直前までドタバタとうのは、ドラマ界ではたまにあること。TBS系「花より男子」(05年)のように、実質2週間くらいで立ち上げて大ヒットした例もあります。悩んでこねくり回すより、いい結果が出るのかもしれません。ちなみに今回の月9は、結婚して専業主婦になりたいOLと、結婚したくないイケメンアナウンサーのラブコメディーです。

【梅田恵子】(B面梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)