民放各局のワイドショー戦争が活発化する中、お昼に圧倒的な強さを見せているのがTBS系情報番組「ひるおび!」だ。12年10月以来、丸3年にわたり同時間帯の首位におり、このほど発表された9月の月間平均視聴率(2部、午前11時55分~午後1時52分)も7・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。「ヒルナンデス!」「ワイド!スクランブル」「バイキング」など他局を抑え続けている。「でかい当たりを狙わない」という松添美徳プロデューサーに、番組のポイントを聞いた。

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◆こつこつと専門家を呼ぶ信頼性

 「ひるおび!」で徹底しているのは、その日扱うテーマにきちんと専門家を招くことだ。ほかの番組では、ジャンルによってはMCとレギュラー陣で進めてしまうことも多いが、「ひるおび」はどのテーマにも専門家を招き、説得力でテーマを立体的にしていく。新国立競技場のテーマでは、元東京オリンピック招致推進担当課長がスタジオにいて「文科省もJSCも有識者会議をコントロールできなかった」と明快だった。人材にあたりをつけ、アポをとるのは意外と手間のかかる作業だけに、番組のまじめさがにじむ。

 松添氏は「どんなジャンルもきちんと専門家を呼んで丁寧に伝えていこうという地道な積み重ね。専門家のキャスティングと、どういう角度から切るかが番組の生命線なので、そこは手を抜けません。政治の田崎史郎さんや伊藤惇夫さんのようなレギュラー的な分野もありますし、『サメ騒動』の時は専門家を1から探して九州から朝イチで来ていただいたり。番組も7年目なので、探すノウハウや専門家リストみたいな蓄積があるのも強みです」。

 スタジオを回していく司会の恵俊彰の安定感も7年目の重み。松添氏は「恵さんは自分を主張するより、いかにスタジオの座組みの中でおもしろいコメントを引き出すかに重点を置くタイプ。ほかの情報番組に比べてうちはVTRは短め。恵さんが疑問や質問をどんどんぶつけていくスタイルです」。専門家側も意気に感じるようで「あれこれ話せるのでいろいろな材料を用意していきたくなる」と語る人もいるという。

◆局アナの有効活用

 ボード解説を固定の顔触れが担当しているほかの番組と違い、テーマごとに局アナが入れ替わるスタイルも「ひるおび」独特だ。かつては斎藤哲也アナと安東弘樹アナの固定だったが、今は2年目の笹川友里アナまで総勢8人に拡大。得意分野ばかりとは限らないテーマに日々体当たりしている。

 「プレゼン能力がある局アナはけっこういて、どんどん鍛えてみようと顔触れを広げていきました。若い笹川も最初は緊張していましたが、頑張っています。1人で10分、20分のコーナーを任されて、自分のプレゼンショーにする場はなかなかないですから『ずっとやりたかった』という声は多いです」。担当するテーマは、前日か当日に伝えられるという。「朝7時半からの打ち合わせが最重要。ボードの展開や補足情報など、担当スタッフと入念に打ち合わせします。スタッフの練度が上がってきたので、アナウンサーたちも心強いと思います」。

◆何でも知ってる八代英輝弁護士

 5年半にわたってレギュラーを務める八代英輝氏(元裁判官、国際弁護士)の存在も大きな強みだ。安保法案を憲法の視点から論じたり、デザイン盗用問題では知的財産権、自然災害では損害賠償など、法律の視点から何でも語れる。水害対策では「小さいころよく行っていた」と荒川の氾濫箇所まで把握していたり、番組が用意した機動隊特殊車両の写真が間違っていた時は「マフラーの向きが違う」と指摘したり。

 松添氏は「船とか自衛隊とか、こんなことも知っているのかというくらい知識の幅が広い。テレビをよく知っているし、打ち合わせの時は危機管理の面からアドバイスもしてくれて、制作側の立場もこなしてくれています」。

◆でかい当たりを狙わない

 番組作りに関して松添氏は「うちは『独占スクープ!』みたいなでかい当たりを狙わないんですよ。細かくヒットをつなげてランナーを送って。そういう積み重ねです」。他局の横の番組も当然気になっている。「数字的には『ヒルナンデス』さんと勝ったり負けたり。でもジャンルが違うので一概に勝ち負けの問題でもなく。ファッションやグルメなど固定客向けのコーナーがきちんとある『ヒルナンデス』さんと違い、うちはネタ次第なので、日々どういうものを店頭に並べてお客さんに来てもらうかが勝負です。『ワイドスクランブル』さんは特に11時台が充実していらっしゃるので、そこは常に気にしています」。

 今後も「地道に、誠実に、信頼感の積み重ね」という。「映像を隠して『その実態はCMの後で!』みたいな上げ底感は、視聴者は見抜きますから」。いろいろ納得である。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)