女優長澤まさみ(30)主演のフジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」(月曜午後9時)が9日にスタートする。人をだます信用詐欺師を演じる長澤は、11年ぶりの月9主演に「私もだまされたようなもの」とゆるっと笑う。前回は19歳だった彼女も節目の30歳。「おばさんの始まりだとしたら、おばさんって楽しい」と充実している。

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フジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」主演の長沢まさみ(撮影・山崎安昭)
フジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」主演の長沢まさみ(撮影・山崎安昭)

 -月9の主演は、小日向文世さんから聞いたとか。

 長澤 そうです。映画「マスカレード・ホテル」(19年公開)の撮影の時に小日向さんから「次、月9じゃん」と言われて驚いて。大型ドラマだと聞いていたので、私もだまされたようなものですよ(笑い)。でも、月9だからやめるなんてことはないし、私にとっては、見てくれた人がこれからどんな感想を語ってくれるかの方が大事。「面白かった」「感動した」と言ってもらえるように、いい作品を作るしかないという気持ちです。

 -「月9はリスク」という風評まで出ている中での登板にプレッシャーはないですか。

 長澤 リスクなのだとしても、リスクに踏み込んでいない人よりは一歩先を行っているわけで、それは自分の自信になる。「海月姫」(主演芳根京子)も見てましたけど、若い人たちすごいなと、刺激を受けました。逆境の中、やり切っていてえらいなあと。みんなが勇敢な戦士に見えました。やってみないと分からないことは世の中たくさんある。なるようになるんじゃないですかね、ふふ。

 -すごい前向きで気持ちがいいです(笑い)。

 長沢 父親(ジュビロ磐田初代監督、長澤和明氏)がそうなので。おみくじで3年連続で大凶を引いても「あとは上がるしかないから大丈夫っしょ」って(笑い)。潔くて努力を怠らない人。母親も皆勤賞タイプのまじめな人で、そんな両親がいたからこそだと思います。逆境に立った時がいちばん自分の本領が発揮される。チャンスですよ。

フジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」(C)フジテレビ
フジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」(C)フジテレビ

 -今回は、天才肌で無軌道な魅力を持つ信用詐欺師のダー子という役どころ。演じてみていかがですか。

 長澤 私は人をだますのが苦手なタイプだし、周りからものんきそうなイメージで見られることが多いので大丈夫かなと思いましたが、インテリジェンスな方向性ではなくて、ユーモアのある仕掛けなので、自分に合っていたと思います。古沢良太さんの脚本は、張り巡らせた伏線とか、読んで分かっているこちらから見ても面白いんです。ダー子のキャラクターも、ふざけているようで、どこからまじめなのか分からない感じが楽しい。

 -仕掛けたトリックが二転三転しながらお金をだまし取るコンゲームは、映画や小説でも昔から人気のジャンル。なぜ人の心をとらえるのだと思いますか。

 長澤 非現実の魅力だと思います。危機的状況にいる人のやっていることを、人ごとだからおもしろがれるというか。そこには人間の憎悪や、心の流れや乱れがあって、人間らしくてひかれるんじゃないかと思います。

フジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」(C)フジテレビ
フジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」(C)フジテレビ

 -長澤さんと、東出昌大さんと、小日向文世さんの3人組が物語の中心となりますが、主演として心掛けたことは。

 長澤 率先して何かをやる、ということはしていません。若いころは、主演だから頑張らなきゃと力が入りすぎていたと思う。でも、現場を作るのは私自身だけじゃない。人に頼る、身を任せるのも大切なことと思っているので、役に集中して、やるべきことをこつこつと。

 -ダー子とか、大河ドラマ「真田丸」のきりとか、しぶとい女の役がはまる印象です。

 長澤 自分で言うのもあれですけど、私、しぶといし、我慢強いし、根性あると思います。農家をやっていた祖父も言ってくれたんで(笑い)。イヤミを言われたり、そういう小さい攻撃は全然平気なんですよね。ずっとこの体、この自分で生きていかなければならないんだから、それくらい図太く根性もって生きていかないと、せっかく生まれてきたのに自分がかわいそう。

フジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」主演の長沢まさみ(撮影・山崎安昭)
フジテレビ月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」主演の長沢まさみ(撮影・山崎安昭)

 -ちょうど30歳の居心地はどうですか。

 長澤 20歳の時は、30歳っておばさんだと思っていたんですよ。おばさんの始まりだとしたら、おばさんの時間長いなって(笑い)。おばさんが強いのは、おばさんでいる時間が長い分、振れ幅が無限にあるからかも。子供っぽくてもいいし、老けていてもいい。どっちにもなれると思うと、おばさんって楽しいと思う。

 -長澤さんがおばさんというのも違和感が(笑い)。

 長澤 10代の子から見たらおばさんですよ。うちの母親が映画館にいたら、前にいた子供が、私のことを「きれいなおばさんだね」って言ってたって(笑い)。ありがとう! みたいな。むふふ。おもしろいです、30代って。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)