BPO放送倫理検証委員会は6日、作曲者偽装問題が発覚した佐村河内守氏を「全聾の天才作曲家」などと伝えたNHKなど5局7番組に関して「放送倫理違反までとは言えない」としつつ、「自己検証結果の公表を要望する」との見解を発表した。

 審理の対象となったのは、08~13年にNHK、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、テレビ新広島でそれぞれ放送された佐村河内氏に関するドキュメンタリー番組。作曲者偽装問題が発覚した昨年2月から討議、審理されてきた。

 同氏の作曲活動と聴覚障害に関する各局の裏付け取材は不十分でありつつ、放送時点において、その内容が真実であると信じるに足る相応な理由や根拠が存在したことで「倫理違反」があるとまでは言えないと判断した。

 一方で、問題発覚後の対応については、自己検証がいまだに不足しており、今後も検証を継続した上で、その結果の公表を検討するよう要望した。

 見解を受け、NHKは「委員会の見解を真摯(しんし)に受け止め、教訓を番組制作にいかすことで、引き続き再発防止に取り組んでいきます」。

 TBSは「今回の検証委員会の見解を重く受け止めるとともに、今後も検証を続けていきたいと考えています」とそれぞれ広報を通じてコメントした。