テレビ東京の大橋未歩アナウンサー(36)が同局の朝の顔となる。司会を務める新番組「チャージ730!」(月~金曜午前7時半)が来月1日からスタートする。2年前に軽度の脳梗塞を患い、8カ月間休養した。復帰後の順調な仕事ぶりが印象的だが、療養中には複雑な思いも抱えたという。新たな番組にかける思いや今の自分を支えているものを聞いた。

 「チャージ730!」は、テレビ東京が初めて平日午前に放送する報道・情報番組。入社13年目となる大橋アナが司会に起用された。これまでスポーツ番組や深夜バラエティーの印象が強く、新境地に挑む。「ニュースの合間をつなぐときは明るい雰囲気になると思いますので、素のままでバラエティーの経験も生かしたい。36年の人生経験全て投入します」。

 新番組スタートを機に、05年から出演した「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」を卒業した。療養中は休んだが、約9年半出演した。メーン司会の所ジョージ(60)に掛けられた大事な言葉がある。

 「力を入れなくていいから。こっちが楽しくなきゃ見てるほうも楽しくないでしょ」

 これが大橋アナのトレードマークともいえる「笑顔」の原点になった。「入社3年目で初のゴールデン番組で緊張していました。気になることをびっしり書き込んで真っ赤になった台本を見た所さんがそう言ったんです。仕事ですが、自分たちも楽しむこと、いい意味で力を抜くことが大事と教わりました。それからニコニコできるようになりました」。

 13年1月に脳梗塞と診断され、療養生活に入った。「療養中にテレビでしゃべることが怖くなっていました。復帰して言葉をかんだら、周りから後遺症と思われるかもしれないという恐怖感。苦しかったです」。自宅では複雑な思いでテレビを見ていた。「どうしても司会者がいる番組が見られず、見たのはドラマや映画だけ。復帰したいと焦りが出ますから」。

 復帰後、仕事について見詰め直すことができた。「いろんな方に声を掛けていただいた。私を見掛けたお掃除のおばさんやタクシーの運転手さんにも『元気になって良かったね』と言われました。ああ、私たちはこの人たちのために番組を作っている。そう再認識できた。この人たちにとって役立つ情報を伝える意義を考えるようになりました。人生、遠い先のことは分からない。病気の後、目の前のことに懸命に取り組む志向になりました。生涯勉強です」。

 週5日、早朝の生放送。主治医から「再発なし」と言われ体調の心配はない。看板アナの笑顔が日本の朝を明るくするはずだ。【中野由喜】

 ◆大橋未歩(おおはし・みほ)1978年(昭53)8月15日、神戸市生まれ。上智大卒。02年テレビ東京入社。入社半年で看板スポーツニュース番組を担当。「スポーツ魂」「メガスポ!」などのほか、「やりすぎコージー」などバラエティーも担当。07年1月1日にヤクルト城石憲之内野手(現日本ハムの2軍打撃コーチ=41)と結婚。血液型B。