上方落語を再興した立役者で19日に肺炎で亡くなった人間国宝の落語家・桂米朝さん(享年89)の弟子で長男の桂米団治(56)が30日、父の名跡「桂米朝」について「半永久欠番だと思う。いま継いだらどうなりますか。だれが継いでも無理だと思う」と語り、大名跡として空位にする考えを明かした。

 この日、米団治は4月1日からスタートするKBS京都ラジオの新番組「本日、米団治日和。」(水曜、後5時30分)の初収録を行った。収録前に取材に応じた米団治は「(米朝さんは)本当に落語の神様になられた気がします。神さんの名前をそう軽々しく継いだらいけません」と話した。ただし米朝さんには弟子も多く、米団治の思いだけでは決められない。

 筆頭弟子の月亭可朝(77)、桂ざこば(67)もいる。「可朝さんは『なんぼかで売るか』って言ってはりましたけど」と冗談で弟子たちを笑わせたことを明かした。

 ラジオ収録を行った京都は桜も開花し、春の陽気に包まれた。「(米朝さんに)あるとき言われたことがある。『咲く』という言葉の語源を知っているか? 紙を『裂く』の同じなんや。『酒』もそうやねん。さけっ~!」。桜の季節になると思い出す酒好きだった父のエピソードも明かした。「ほんまかどうか分からないけど、調べてみたらあながちウソじゃない。『さく』の語源はどうやら1つではないようです」と亡き父の姿を思いだし、ほほ笑んだ。

 米団治にとって同局での冠番組は23年ぶりとなる。「京都人の知らない京都を伝えたい。茶道、華道など伝統文化を代表する方をゲストとしてお呼びしたい」と意気込んだ。