故5代目桂文枝門下で、失明を克服して高座復帰した落語家、桂文太(62)が14日、大阪市内で会見を開き、入門45年で初めて、大阪・なんばグランド花月での独演会「ぷれみあむ落語会inNGK」(6月11日)を開くことを発表した。

 858人収容のNGKで、入門45年にして初独演会を開くのは、同劇場では史上最も遅い開催となる。

 文太は三枝(当時=現・6代文枝)、きん枝、文珍の“桂3兄弟”に次ぐ先代の弟子で、地道に高座を務めていたが、50歳のころ「視野が欠けるいうか、白地に黒いもんが見えるように」なったといい、医師から網膜色素変性症の診断を受けた。「難病や言われて、ある日、痛みもなくスーッと見えへんようになった」と振り返り、「3~4年ほど」のリハビリを経て、高座に上がっている。

 「落語は体に入ってますから、ほんま、落語家でよかった。仲間(一門)がおってよかった」

 文枝一門のみならず、1年違いの他門の後輩、笑福亭鶴瓶らにも支えられ、新たな芝居ばなしを口伝で覚えるなどし「目が見えんようになってから、(登場人物が)下りてくるようなこともある」とも話した。

 45年で初めて、所属の吉本興業の本拠地で独演会を開くが、収容は858席。「どうしても満杯にしたい」と、鶴瓶に出演を依頼し、快諾。盲導犬を紹介されて知り合った歌手中村美律子もゲスト出演する。