昨年5月放送のNHK「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題で、同局に訂正放送を求めている男性(50)が21日、大阪市内で会見し、NHK側から訂正放送に応じる返答がなかったため、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会へ人権侵害を申し立てたことを報告した。

 男性はNHKに対し「公共放送なので、きちんと調査してくれると思ったが、自浄能力はゼロだ」と痛烈に批判。この騒動の最中、番組に関わった同局記者が所属する大阪放送局では、坂本忠宣局長長がNHK理事へ昇進することも決まり、すでに発表されている。男性はこれに対し「ふざけんなと言いたい」と怒りをあらわにした。

 番組は「出家詐欺」を扱った内容で、男性は番組内で「ブローカー」として紹介された。しかし男性は、NHK記者からの演技指導を受け「ブローカー役」を演じたもので「私はブローカーではない」と主張し、NHKに訂正放送を求めている。

 NHKは内部に調査委員会を設け、今月1日以降、男性にも2度のヒアリングを行った。だが、男性によると、いずれも「私がブローカーなのか否かについて調べているといった感覚はほぼなく、(番組での)発言内容の裏付けばかりを集中して聞かれた」と言い、NHKの調査手法にも不信感をあらわにした。

 男性によると、2度目の聞き取り調査は2時間ほど行われ、NHK側は番組収録時の男性の発言を文字に起こして持参。仏教関連の専門用語を使った男性の収録での発言について「なぜ、こんなに詳しいのか」などと、その理由を問う質問を繰り返したという。

 男性は、BPOに対しては「犯人(NHK)が犯人(NHK)を調べても、いったい何になるのか。(BPOには)適正な調査を期待したい」と語った。