昨年5月放送のNHK「クローズアップ現代」でやらせ疑惑が指摘されていた問題で、NHKの調査委員会の報告を受け、出家詐欺ブローカーに仕立てられ人権を侵害されたとして、訂正放送を求めていた男性(50)は28日、代理人弁護士を通じ「とても残念ですし、強い憤りを感じます」とコメントした。

 NHKはこの日、東京・渋谷区の同局で会見を行い、「過剰な演出」「誤解を与える編集」があったとする一方で、捏造(ねつぞう)につながるやらせはなかったとする調査報告書を発表していた。

 この報告を受け、男性の代理人弁護士は、NHK側代理人に電話で確認をとり、訂正放送の予定がないことを確認。男性の代理人は「男性がブローカーか否かという点について『真実ではない』と断定できないので、訂正放送はできないと言われた」と明かし、既に人権侵害を申し立てている放送倫理・番組向上機構(BPO)の調査に「期待する」と話した。

 今回、NHKが発表した報告書は、やらせ疑惑への抗弁が中心となっており、男性が主張する「出家詐欺ブローカーではない」との点についての検証は、比較的薄い内容になっている。

 これらのことから、代理人と同じく、男性も「今後はBPOの手続きにおいて、私の名誉が回復されるよう務めていきます」とコメント。あくまでも今後はBPOの調査結果を待ち、現段階で、法的措置の予定はないという。