タレントのクリス松村が30日、文部科学省が性同一性障害の児童・生徒に対する具体的な対策を全国の小中高校に向け指示したことを受け、「不安ばかりが頭をよぎります」と懸念を示した。

 文科省はこの日、同性愛や性同一性障害など心と体の性が一致しない性的マイノリティーの児童生徒への配慮が必要として、例えば男子生徒本人が「女性」と自認している場合にはスカートなど女性の制服の着用を認めるなどといった具体的対策を学校に対して指示した。

 これを受け、“オネエタレント”として活躍するクリスは、自身のブログで「文部科学省の皆様のそういう姿勢に感謝の思い」があるとしながらも、「不安ばかりが頭をよぎります。性同一性障害の男子とされる子供に例えばスカートの着用を認める…なんて話があるのですが・・・世の中、そう甘くはない…」と懸念を示した。

 自身も性同一性障害に苦しんできたクリスは、タレントとしてテレビ等に出るようになってからも「私のことを理解していただいたことは、一度もないと思っております」という。自身は「前向きにあきらめている」とのことだが、「この問題は、それぞれにそれぞれの立場と考えがあって、ひじょうに難しく問題が根深いのです」とした。

 文科省の取り組みを評価しながらも、「学校単位で理解をすることには、相当な時間がかかるはずですし、一緒にいるのは、子供なので、なかなか難しい課題があると思います」とクリス。「つまり、早く言えば、それがかえって差別、いじめの洗礼を受けさせることになるのではないか・・・という懸念があります」と心配した。

 また、自身も性同一性障害などの問題について真剣にメディアで語ろうと思いつつも、これまでそれが実現できていないとして「若い方々で悩んでおられる方には、申し訳ないと思っています」と反省。その上で、今回の件については「スカートとか…そういう形を認めることよりも、姿形、肌の色、いろいろな差別の歴史、闘いの歴史を子供たちに教えること、一緒に考えることこそが、最初に学校でなすべき、一番大切なことだと私は思います。それは、悩んでいる当事者のためにもなると思います」と私見をつづった。