日活が1日、1971年(昭46)から88年まで約1100本を製作した成人映画のレーベル「日活ロマンポルノ」45周年を迎える16年に新作を公開することを含めた「ロマンポルノリブートプロジェクト」を始動すると発表した。

 まずプロジェクト第1弾として、16年に一般の劇場での公開を目指し、これまでロマンポルノ作品を監督していない第一線の監督による、完全オリジナルの新作の製作を今年初夏から開始する。海外ポルノが本番&無修正が基本なのに対し、日活ロマンポルノは、劇場公開用のフィクション映画として映画倫理委員会(映倫)の審査を受け、全て演技で本番ではない、というのが製作におけるルールだった。一部現在のフォーマットに置き換えた一定のルールの中で撮影するロマンポルノの特質を引き継ぎ、その条件下で現代の監督がどのような性愛の表現に挑戦するのか、そこからどんな女優、俳優が生まれるのかという、新たな映像表現を獲得するための挑戦と遊戯の場として、ロマンポルノ新作の製作を開始するという。BSスカパー!(BS241)がパートナーとなる。新作の劇場公開に併せて、BSスカパー!で、R15+版の放送を行う企画も予定している。

 次にプロジェクト第2弾として、旧作の活性化策に着手する。具体的には、映倫に過去作の再審査を依頼していく。98年に「成人映画」が「R-18」(09年からは『R18+』。18歳以上が鑑賞可)と改称されて以降、ロマンポルノ作品群は「R18+」に移行した。その中、映倫の再審査を受け、神代辰巳監督の73年「恋人たちは濡れた」と「四畳半襖の裏張り」が「R15+」(15歳以上が鑑賞可)作品となった。日活は、製作された時代の風俗や文化を感じる映画作品として、多くの観客に見てもらうために、今後もロマンポルノ作品の再審査を依頼していくという。 日活は、100周年を迎えた12年5月から、日活ロマンポルノ特集上映を全国で順次、行った。それを見た若い世代の俳優や女優たちが魅力を伝えていくなどしたことで、ロマンポルノを知らない若い世代から再評価され、新たなファン層を拡大した。日活は、再評価された理由を「人間の本質を描くためには性を描くことが不可欠であること、男女の葛藤や喜びを赤裸々に表現し、さらにその時代の風俗やファッションや文化の流行を敏感に作品に取り込んでいたこと、社会性が強いテーマも扱っていたこと」と分析した。

 その上で今回の「ロマンポルノリブートプロジェクト」について「再評価の機運にのり、まず新作製作プロジェクトにおいて、第一線の映画監督たちへ、現代の性と男と女のドラマを描く表現の場を提供します。さらに、旧作ロマンポルノのマスターピース作品群の上映を行い、ロマンポルノの“早すぎた映像表現”を鑑賞する土壌を世代、地域ともに広げていきます。この2つが、ロマンポルノリブートプロジェクトの主な目的となります」とした。今年初夏から製作を開始する新作の続報は、年末に発表予定だという。