子役の鈴木梨央(10)が、世界のRioになった。日本版の声優を務めたフランスのアニメ映画「リトルプリンス 星の王子さまと私」(マーク・オズボーン監督、11月公開)が22日(日本時間23日)、カンヌ映画祭で特別招待上映。着物姿で登場した鈴木は、世界5カ国のキャストの中心で撮影されるなど、かわいらしさで人気NO・1だった。

 公式上映前の記念撮影で、鈴木がセンターに立った。「リトル-」の米国版で主人公を演じた米人気子役マッケンジー・フォイ(14)から「真ん中に」と促された。そこは、世界の俳優、女優が夢見るカンヌのレッドカーペットを上った踊り場。07年米アカデミー賞主演女優賞のフランス女優マリオン・コティヤール(39)からも笑みを送られた。

 鈴木のかわいらしさが、地元フランス報道陣、関係者のハートをつかんでいた。同映画祭公式チャンネルのテレビカメラは、車からレッドカーペットに降りる段階から鈴木に密着した。劇場内の座席でも、他国版の声優で、コティヤールら米国版のメーンキャスト近くに座れたのは日本人キャストだけ。上映後、10分以上続いたスタンディングオベーションも堪能した。

 鈴木は一夜明けた23日に言った。「一生の思い出。絶対に忘れません!!」。フォイとは「ナイス・トゥー・ミート・ユー(はじめまして)」とあいさつをかわし、「着物がすごいかわいい。すてき。一緒に写真を撮りましょう」と言われてツーショット写真に納まったという。

 10歳でのカンヌ映画祭参加は、日本人主演女優として史上最年少だった。劇中で母役を演じた瀬戸が「2度とないチャンスだと思って来ました。2度目のカンヌ目指して頑張る目標ができました」と話すと、鈴木は「大人になってチャンスがあったら来たいです。海外の映画にも出たい」と続いた。カンヌで存分にアピールした鈴木の成長を世界も期待している。【村上幸将】

 ◆「リトルプリンス 星の王子さまと私」 9歳の女の子(鈴木)は、母(瀬戸)の言うことを聞き一生懸命勉強していた。ある日、進学のため引っ越すと、隣の家から壊れた飛行機のプロペラが飛んできた。女の子はプロペラの主の奇妙な老人(津川)と仲良くなり、飛行士だった若い頃の物語を聞く。老人は星の王子さまと出会った飛行士だった。フランス人作家サンテグジュペリによる名作「星の王子さま」の初めてのアニメ映画化で、カンヌ映画祭には米国、日本、フランス、イタリア、ベルギーの声優陣が参加。