覚せい剤取締法違反などの罪で有罪判決を受けた歌手ASKAの知人で、同法違反(使用)の罪で1審東京地裁で懲役懲役2年(執行猶予3年)の栩内香澄美被告(38)の控訴審2回目の公判が23日、東京高裁(井上弘通裁判長)で開かれた。

 栩内被告は、この日も上下黒のセットアップにハイヒール。髪は1つに結び、メガネをかけた装いで出廷した。資料に目をやりながら、約30分間、弁護人の弁論に耳を傾けた。ASKAの薬物使用に対していさめようとしていたことを述べる場面などで、ハンカチで目元をぬぐうこともあった。

 この日は、弁護側が控訴審で新たな証拠として挙げた、ASKAと弁護人によるメールの内容が明らかになった。今年の4月8日、同9日、同27日にメールのやりとりが行われたといい、ASKAから「栩内被告の控訴審が近づいてきました。何とかお役に立てないか」「栩内被告の無実を証明するために何でもやりたい」と送られてきたという。8、9日のメールでは、栩内被告の自宅の空調から検出された薬物反応は、約5年前に、ASKAが部屋で吸ったものであることや、栩内被告の自宅のゴミ箱から検出されたのは、ポケットの中やパソコンについたものを、栩内被告がティッシュで拭き取ったもので、4回ほど同様のことがあったなど、証言しているという。

 弁護側は、ASKAとの面会を求めていたが、同27日になって「家族やスタッフ、(ASKAの)弁護士と話し合いになって、お断りします。お会いするつもりでしたが、勇み足でメールを送ってしまいました」と実現できず。弁護側は「一般人の栩内香澄美が無実であるにも関わらず、不名誉なレッテルを貼られる中、芸能界復帰のためなのか、家族のためなのか、自分たちの利益や名誉を守ろうとするのは身勝手」と恨み節ともとれる弁論も。結果として1審、控訴審とASKAの証人申請も認められず、栩内被告の体内から薬物が検出されたのは、故意か過失かも証明されなかったと主張しつつ、「(吸引の)道具や入手経路などは被告人にはない」などと、あらためて無罪を訴えた。

 栩内被告は昨年5月、東京都内などで覚せい剤を使用し、逮捕された。被告は1審から故意を否認して、無罪を主張。今年1月14日に1審の判決が言い渡され、同20日に控訴していた。7月16日に判決が言い渡される。