エイベックスとサイバーエージェントが共同出資する定額制音楽配信アプリ「AWA(アワ)」のCM発表会見が29日、都内で行われた。5月27日に開設してから100万ダウンロード突破と好発進も、今日30日から米国のアップルミュージックが始まる。同じタイミングで全国CMを流して対抗する。AWA社の松浦勝人会長(50)と藤田晋社長(42)が戦略を話した。

 エイベックスを率い、浜崎あゆみら数々のアーティストを輩出した松浦会長は言った。「音楽市場は右肩下がりだが、海外で伸びているストリーミング(データを受信しながら同時に再生を行う)配信サービスを研究し、日本でも展開した。アップルやグーグルのサービスも始まるが、トータルで数千万規模になれば、音楽市場の右肩下がりから脱却できるのではないか。音楽の聴き方も変わってくる」。サイバーエージェントのトップでもある藤田社長は「先行有利がネット界の常識。急いでCMをやりました」と新ビジネスを先駆けたことを強調した。

 今、日本人の音楽ライフが変わろうとしている。スマートフォンでユーチューブなどを利用して音楽を視聴する習慣が定着した今、より機能を充実させた定額制音楽配信アプリの時代に突入した。

 5月27日に始まったAWAは、一部機能制限付きで利用できるライトプラン(月額360円)と、好きに楽曲リスト(プレイリスト)の制作と公開ができるプレミアプラン(月額1080円)で、国内外のレーベル23社とプロダクション5社の洋邦楽あわせて数百万曲が聴き放題。国内では初のサービスだ。

 この日のPR会見は、今日から配信されるアップルミュージックを意識しての開催。iTunesでの配信ダウンロードの大成功で配信業界の雄であり、日本にとっては黒船。世界100カ国以上でサービスを開始し、配信曲数も多くなる強敵だけに、AWAはほかのサービスにはない特徴や国内での利便性をPRした。

 約5年前から、各レコード会社と交渉するなど準備を進めていた松浦会長は「正直な話(アップルも)わずか1カ月の差で来るとは早いなと」と苦笑いした。ただ、木よりも森を見て、音楽ビジネス全体の底上げが目的とし、「これで音楽から離れていた人たちが、音楽に帰ってくる」と新ビジネスの未来を見据えた。【瀬津真也】