え? 人間国宝の故桂米朝さんの息子は“国立”人間? 

 上方落語家桂文珍(66)が8日、大阪市内で、毎夏恒例の「吉例8・8 第33回 桂文珍独演会」(8月8日=大阪・なんばグランド花月)の発表を行い、今回のゲストに米朝さんの長男、桂米団治(56)を呼ぶことを決めた。

 米朝さんは戦後の上方落語を復興させた功労者で、今年3月に89歳で亡くなった。文珍は、米朝さんにも以前、独演会ゲストに出演してもらったことがあり、今年は「ご子息であられますところの米やんを」呼ぶと決めた。

 「(父の功績を継ぎ)しっかり芸をやってもらいたい。元気で頑張ってほしいですね」とエールを送りつつ、米団治を「人柄ええからね。ボンやから。ええな~、うらやましい。国宝が作った子供でっせ? 国立になるんかな」。毒と笑いをまじえて、米団治への期待を語った。

 その米団治は、米朝さんの十八番で、かつて独演会ゲストで登場した際にも披露した大ネタ「地獄八景亡者戯」を演じるといい、文珍は「彼なりに演出をして、楽しませてくれると思います」と話した。

 一方で文珍自身は、駆け出し設定の別キャラクター「桂珍幻彩」として、地方創世をテーマにした「玄海集落」を演じ、文珍としては「花見酒」「寝床」を披露する。時勢に敏感な文珍らしく、時事ネタを織り込んだネタ3本を決めた。

 「玄海-」では、地方活性化を基本に話を進める。さらに、ギリシャの経済破綻から経済に興味を持ち、銭転がしからタダ酒にあやかろうとする男を描いた「花見酒」に決めた。

 文珍は、仏経済学者トマ・ピケティの「21世紀の資本」を読み、経済の勉強を始めたが、難度が高かったため、分かりやすく、時事ネタを取り入れて演目にしようと考えたという。

 「寝床」は、昭和の爆笑王と呼ばれた故桂枝雀さんが得意としていた演目で、最近では江戸で上演されることが多く、上方では珍しい。文珍は「枝雀さん、うまかったからね。でも、だいぶ薄れてきたやろう(笑い)」と、枝雀さんの弟子、桂南光に打診。南光から上演の快諾をもらい、演目に入れたと説明した。

 また、桂珍幻彩としては「文珍ではもうできないネタ、ぶっとんだ芸もやれる」とし、将来的には、珍幻彩としてのイベント、独演会も検討している。