小説「火花」で第153回芥川賞(日本文学振興会主催)を受賞したお笑いタレント、ピース又吉直樹(35)が16日、東京・帝国ホテルで会見した。「めっちゃうれしいです」「正直自信はなかった。ゼロでした」と受賞の喜びを語った。

 選考会では、1回目の投票からトップの票を集めての、堂々の受賞だった。お笑い界初の快挙に「プロの作家さんにちゃんと偏見なしに扱っていただけて、うれしい」。受賞の一報は、マネジャー、担当編集者とホテルオークラで聞いた。「電話で『おめでとうございます』と言われて、手が震えました」。芥川賞80年の歴史に名前を刻んだことに「大好きな作家さんがたくさん受賞していて、そこに自分がいるのは、まだ実感がない」と話した。

 大好きな太宰治も手にできなかった賞でもある。「テレビで『太宰が好き』とか勝手に言うたびに申し訳なくて、そのたびに三鷹にお墓参りに行っている。自分のことは報告するつもりはない。『大好きです』という気持ちを伝えたい」。囲み取材でも淡々と心境を語り「僕が明るい人間やったら『フーッ!』と言ってるんでしょうけど」と笑わせた。

 賞金は100万円。相方の綾部祐二からは「(借りている)2万円は返さなくていいよね」と祝福メールが来たという。「ちゃんと返してもらおうと思います」。お笑いと作家業の両立について「今まで通り、ライブをやりながら。お笑いが、小説を書くときの1歩目になる。必要なんです」と話した。

 会場は、30台以上のテレビカメラと200人以上の取材者、スチルカメラで扉が閉まらない状態。注目度の高さをうかがわせていた。