長渕剛(58)が、8月22日夜から静岡県富士宮市の富士山麓で開催する「10万人オールナイト・ライヴ2015 in 富士山麓」。この一大イベントに向け、さまざまな角度、証言から連載する。

 西内まりや(21)はモデル、歌手、女優として活躍中だ。順風満帆なタレント人生に見えるが、高校時代には人間関係や仕事に悩み、自ら心を閉ざした時期があった。涙に暮れる日々から救ってくれたのが、長渕の歌う「ひとつ」だった。

 2011年3月11日の東日本大震災で傷つき、生きる希望を失った人たちを勇気づけ、寄りそうために長渕が作った曲。同年大みそかのNHK紅白歌合戦で被災地から熱唱し、12年2月にリリースされた。

 ♪ひとりぼっちに させてごめんね もう2度と 離さない 離れない 離したくない

 ♪ひとつになって ずっといっしょに 共に生きる

 長渕がテレビの歌番組で歌唱する姿を目にしたのは偶然だった。曲を聴いた瞬間に「口を開いたままずっと目が離せなくなってしまった」と振り返る。言葉の1つ1つが心に染み入り、悩みの先にある光に思え、進むべき方向が明確に見えた気がした。自分の力だけではどうにもならないことがある。それを受け入れながら前を向く大切さをあらためて思い、「すごく心強かった」という。

 西内は、今年5月発売の新曲「ありがとうForever…」で初めて作詞作曲に挑戦した。両親や周囲の人々への感謝の思いを込めた。「この曲で誰かの心を少しでも癒やせたり前向きにできたり、背中を押せればいいなという思いです」。そしてきっぱりと言い切った。「ギター1本でどこにでも行く、長渕さんの背中を追いかけているんです。長渕さんみたいなアーティストになりたい」。

 母が競泳の国体選手。父も水泳やバレーボールなどをこなしたスポーツ選手だった。子どものころ、弱気になると「負けるな」「自分に勝て」という教えが飛んできた。努力さえすれば、結果は後から必ず付いてくる。だから努力を怠るな。自分に課している信念は、長渕の生きざまやメッセージと通じるものがある。

 「相当な苦労をされて、いろんな経験を重ねて、多くの壁にぶち当たって今の長渕さんがいるはず。だからこそ伝わるものや強い思いがある」と感じている。「だから自分も多くの経験を重ねていきたい。そして、長渕さんに会えるレベルに達した時に2人でいろいろと語り合えたら」。

 西内にとって、長渕の存在をひと言で表すと? 「炎みたい」。そう言った後、しばらく考えた。そして「私の心を沸騰させてくれる存在。背中を押してもらいたい時に火を付けてくれる」と力を込めた。新時代の歌姫は、前向きな気持ちに点火したい時、長渕の曲に静かに耳と心を傾ける。【特別取材班】

 ◆西内(にしうち)まりや 本名同じ。1993年(平5)12月24日、福岡県生まれ。「Seventeen」専属モデル。07年にファッション誌「ニコラ」でモデルデビュー。08年に日本テレビ系ドラマ「正義の味方」で女優デビュー。現在はTBS系ドラマ「ホテルコンシェルジュ」に主演。14年「LOVE EVOLUTION」で歌手デビューし、日本レコード大賞最優秀新人賞、日本有線大賞新人賞を受賞。家族は両親、姉。170センチ。血液型A。