福山雅治(46)が6年ぶりに故郷長崎に凱旋(がいせん)した。30日、長崎・稲佐山公園野外ステージで、全国ツアーのファイナル公演を開催。長崎が舞台の楽曲を多数披露しファンを熱狂させた。ラッピング列車が走るなど地元は福山フィーバーで沸いた。

 ステージ中央で、福山が叫んだ。

 「帰ってきたばい、ながさきぃ~!」

 右手の人さし指で、客席のファンたちを指した。1万5000人から大歓声を浴び、かみしめるように何度もうなずいた。もう1度、叫んだ。

 「6年ぶりに、この稲佐山に帰ってきたばい!」

 両手を上げた。「ましゃ~!」と大歓声が上がる。上空には無数のカラフルな風船が飛んでいった。

 ライブは「長崎仕様」の特別構成だった。序盤から中盤にかけ「蜜柑色の夏休み2015」「道標」など長崎を舞台にした曲を連続して披露。1945年8月9日に原爆で被爆した大クスをモチーフにした「クスノキ」もしっとり歌った。

 エンターテイナーの福山らしいサプライズ演出もあった。ファンの間では晴れ男として知られるが、この日は小雨。中盤「僕も、雨を浴びに行きます」と客席のど真ん中の花道ステージに向かった。「アコギ(アコースティックギター)持ってきて。これをやるしかないでしょう。急きょ、もう1曲歌ってもいいですか?」。内山田洋とクール・ファイブの名曲「長崎は今日も雨だった」を弾き語りで披露。「まさかこの曲が歌えるとは思いませんでした。ありがとう、雨!」と笑った。

 18歳で長崎を飛び出し、90年に21歳でデビューしてから、25周年。「ふるさとの空、雲、雨、大地、全てに感謝しながら、歌っていきますよ。これからも、前向きにいきますよ!」。ダブルアンコールを含め、3時間で26曲を歌いきった。コオロギやスズムシの鳴く声をかき消すように、叫んだ。「また会いましょう、稲佐山!」。故郷の力を全身で浴び、エネルギッシュに走り続ける。【横山慧】