視聴率の「自己記録」更新を続け、上り調子のNHK連続テレビ小説「あさが来た」(月~土曜午前8時)だが、その秘密は“愛”にあるようだ。

 同番組の新加入キャストが11日に発表され、ヒロインあさを演じる波瑠(24)、その夫役の玉木宏(35)らが好調の手応えを口にした。

 同番組は先週火曜日の4日に24・1%の高視聴率を記録すると、今週に入って9日に24・5%、10日に24・8%(数字は全て関東)と、立て続けに最高の数字を更新している。波瑠は「とてもありがたいですが、明日、突き落とされないように。あぐらをかかず、調子に乗らず、頑張りたい」と笑わせた。

 収録スタートから7カ月が過ぎ、チームワークはばっちり。玉木は「できあがっているチームに途中から入ってくるのは入りにくいので、いい雰囲気を出そうとしています」と話す。

 この日発表された新加入キャストは、玉木の弟役で波瑠の義弟を演じる桐山照史(26)、あさと女子大設立に奔走する青年役の瀬戸康史(27)、あさの娘役の小芝風花(18)、あさの商売を助ける元大蔵省の役人役で吉本新喜劇の辻本茂雄(51)らが顔をそろえ、緊張気味の4人を玉木が和らげた。

 瀬戸は「衣装あわせであいさつに行くと、玉木さんがいきなり『この現場、ぎくしゃくしてるからね』とニンマリ。ああ~、いいチームなんだなって思った。愛にあふれた作品で、現場でも愛を感じました」と言う。

 すでに7月から収録に入っている桐山は、漢字を読み間違えた際に「4回目ぐらいに『間違えてるよ』と…笑いになりました」。波瑠、玉木の主演コンビがミスを明るく笑い飛ばす空間作りを心がけているようで、感謝していた。

 波瑠、玉木の2人もいたずらを仕掛けあい、多忙な収録の合間をぬって「愛の確認」をする。温かい現場の空気が、そのまま収録につながっていることも、好影響のひとつに相違ない。

 佐野元彦エグゼクティブ・プロデューサーは、視聴率の上昇軌道に「思っていたより早く上がってきてくれた。やはり、ヒロインが皆さまに愛されていることが大きい」と、視聴者の“愛”を実感する。

 現場の空気もいいと言い、幕末からスタートした「初のちょんまげ朝ドラ」の設定が、出演者の結束力を高めたと振り返る。

 「最初は、朝からちょんまげって(視聴者に)シャッター下ろされたらどうしようって不安でしたけど、逆に攻めてる感がよかったのかもしれませんね」

 異色の朝ドラとして取り上げられたことで、波瑠も玉木も「私たちが初めての集団なんだ」と作品への愛ならぬ愛着を深め、佐野氏は「役者陣も、自分たちの中で、誇りに変わっていったんじゃないか」と推察する。

 いろんな“愛”に包まれての快進撃は止まりそうもなく、連日の「記録更新」で、現場の出演者、スタッフには大入り袋が配られているという。視聴率記録を更新するたびに配られており、中身が気になるが「気持ちです。気持ち! ポチ袋に入れて」と額は明かさなかった。

 ただし、プロ野球などで関係者に配られる大入り袋は100円が相場で、それより多いか否かは「多いわけないじゃないですか。気持ちですから」と話していた。