映画「海難1890」(12月5日公開)の3日間先行上映会が23日、和歌山県串本町の串本町文化センターでスタート。田中光敏監督と、同監督の大阪芸大の同級生で同町の田嶋勝正町長という映画の“仕掛け人”2人が舞台あいさつを行った。

 映画は1890年に和歌山沖で起きたトルコ軍艦・エルトゥールル号海難事故の救出劇と、1985年のトルコによるイラン・テヘランの邦人救出劇を描く。同町は実際の海難事故現場で、重要なロケが行われ、地元のエキストラ約300人が撮影に参加した。

 田中監督は串本での撮影の際、リハーサルでエキストラが泣きながら演技をしていたエピソードを披露。「理由を聞くと『おじいちゃんやおばあちゃんから聞いて、ずっと大切にしていた話が映画になるなんて、泣けてくるんや』と。実はトルコの撮影でも現地の方が泣いていた。その人たちは、教科書でエルトゥールル号の話を学んでいたそうです。125年前に生まれた両国の絆がこんなに強いなんて…。映画を作る力にもなりました」と話した。

 また、10年前、田中監督に映画化を提案する手紙を書いた田嶋町長は「串本町のみなさんと一緒に映画を見ることを待ち望んでいました。監督と2人でしゃべらせて頂いてる事も本当にうれしい」と感激の面持ちだった。

 上映会では主演の内野聖陽と共演の忽那汐里のビデオコメントも流された。