「ソロモンの偽証 前篇・事件、後篇・裁判」で作品賞を受賞した成島出監督(54)は素直に喜んだ。「長大な原作を、演技経験のない子で作るという挑戦だった。アクションのない映画で、こんな賞をもらえるとは思わなかった。子供たちが頑張ってくれたので、未来につながる1歩になればいいと思った」。

 生徒役は、1万人からオーディションで半年かけて選んだ。「志の高い小説なので、新しいチャレンジをしようと思った。選ぶ過程でみんな仲良くなったので、落とすのが心苦しかった」。花束を持って駆けつけた主演の藤野涼子は「優しくて、時に厳しい先生でした」と振り返った。

 昨年、同賞を受賞した山崎貴監督は「デンジャラスなことをやって、きちんとした作品になっているのは素晴らしい」と称賛した。成島監督は「検討中のタネは1、2本あるけれど、次回作は再来年になると思う。じっくり構えて、いい作品を撮りたい」と話した。【林尚之】