今月9日に心不全のため亡くなっていた3代目桂春団治さん(享年85)とともに、戦後の上方落語復興に尽力した故桂米朝さん(享年89)の長男、桂米団治(57)は14日午後、所属事務所を通じて「ひとつの時代が終わってしまった」「心にぽっかり穴があいた」とコメントした。

 春団治さんは、米朝さんや、故6代目笑福亭松鶴さん、故5代目桂文枝さんとともに戦後の上方落語復興に尽力し、「上方四天王」と呼ばれた。松鶴さん、文枝さんはすでに亡く、昨年3月に米朝さんも他界したことから、春団治さんが最後の上方大看板だった。

 亡き父とともに上方発展に貢献した春団治さんを思い、米団治は「米朝が他界した翌年に、春団治師匠が亡くなり、ひとつの時代が終わってしまったんだなって。心にぽっかり穴があいています」と語った。

 米団治は自らも実父のもとへ弟子入りしており、春団治さんも先代2代目の実子だった。若き日には、父と同じ道へ進む苦悩を春団治さんから諭されたこともあり「はなし家の家に生まれ、後を行くということへの思いを、ことあるごとに教えていただきました」と振り返った。

 四天王のうちでも、博識だった米朝さんはリーダー格で、春団治さんからは、父米朝さんいついて「君のお父さんには、若い時からお世話になったんだよ」とよく言われたといい、「高尾」「野崎詣り」のけいこもつけてもらった。

 「僕の(小米朝から米団治へ)襲名の時には、舞台に花を添えて下さいました。誰もまねのできない、本当にきれいな高座でした」と偉大な先輩をしのんだ。

 米朝一門から、ほかのコメントは以下の通り

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 一門筆頭の桂ざこば(68) (滞在先の)海外で春団治師匠の訃報を聞き、ショックでとても残念です。おちょこの似合うすてきなお師匠はんでした。昨年の夏、ご自宅にうかがった時も一緒にお酒を飲んでくれました。以前に「私は、お酒は酔うために飲んでますねんけど、お酒ってそないうまいでっか?」と尋ねたら「そらうまいがな」と、とてもいいお顔をなさっておっしゃいましたことを覚えています。

 落語に対する考え方も、私のすごく大好きな方で、ネタは「お玉牛」と「月並丁稚」をつけて頂きました。心からご冥福をお祈りします。

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 米朝さんの孫弟子、桂南光(64) お稽古も、きっちり細かくしてくださり、一緒に飲みにも連れて行っていただきましたが、いつでも、どこでも春団治師匠の端正な風格が変わらず、本当にすてきな師匠でした。