国民的アイドルグループSMAPのメンバーは15日、解散危機の衝撃が収まらない中、それぞれの仕事に集中した。だが、退社の意向を示しているSMAPのマネジメントをすべて引き受けてきた女性マネジメント室長がこれまで通りにらつ腕を振るえないため、さまざまなテレビ番組や映画、各種プロジェクトが停滞を余儀なくされている。解散報道で、メンバーだけでなく、日本のエンターテインメント業界全体も混乱に陥っている。

 SMAPが出演するテレビやラジオ番組は、個人とグループ合わせて22番組もある。これに映画やCM、イベントなども加えると、さらに本数は増える。これらすべての制作現場を、これまでは女性マネジメント室長が取り仕切っていた。

 12日に関連会社「ジェイ・ドリーム」の取締役を辞任して以降、ジャニーズ事務所でのマネジメント室長の肩書は変わっていないが、現場の混乱を避けてか、休みを取っており、所在は不明だ。

 各制作現場でも、多くの仕事関係者がマネジメント室長と連絡が取れていない状況が続いている。グループの先行きが見えない現状に、広告、放送関係者らは戸惑いを隠せない。SMAPが唯一グループ全員で出演するフジテレビ系「SMAP×SMAP」(月曜午後10時)は毎週金曜日が定例の企画会議だったが、この日は行われなかった。今回の騒動の影響だ。制作スタッフは「連絡が取れないので、番組内容についての相談ができない。仕事が進まないので困っています」と悲鳴を上げている。

 以前は、SMAPメンバーとジャニー喜多川社長やメリー喜多川副社長とのやりとりは、すべてマネジメント室長が間に入っていた。ジャニー氏やメリー氏との間に入っていたマネジメント室長が退社の意向を示して以来、メンバーも2人と会えない状態が続いている。

 特に独立を翻意したい木村拓哉(43)以外の4人は、打開策を見いだせずにいる。解散報道から、事の重大さにあらためて気付いた中居正広(43)稲垣吾郎(42)草なぎ剛(41)香取慎吾(38)の4人は、事務所に残りたい気持ちを示そうにも示せない状態が続いている。

 SMAPはそれぞれの得意分野で個性を光らせることをグループの魅力としてきた。中居は司会業、木村は俳優業…などと、メンバーそれぞれが各分野の第一線で活躍を続けている。個性派集団だけに、全員の意思統一が簡単にいかないのも事実。個性派集団を取り仕切ってきた司令塔が不在という非常事態に直面し、独立を翻意したい4人は、解散危機回避に向けた具体策がうまく取れないまま、時間だけが経過している。

 代表曲「世界に一つだけの花」の購買運動など、ファンの間でグループ解散回避に向けた機運も高まっている。だが1度独立を明確に表明した中居ら4人は、残留を表明する木村や他タレントに示しがつかないとして、4人の翻意を簡単に認められないとする状況は変わらない。

 それでも関係者の中には見るに見かねて、解散を回避しようという動きもあるが、今は身動きが取れない状態が続いている。

※草なぎのなぎは弓ヘンに前の旧字の下に刀