永瀬正敏(49)が、SABU監督(51)の新作映画「ハピネス」(今秋以降公開)に主演することが28日分かった。永瀬は昨年、出演作「あん」が出品されたカンヌ映画祭に参加し、SABU監督も同年に「天の茶助」を、ベルリン映画祭に出品。ともに世界3大映画祭を経験した2人が初タッグを組みカンヌ、ベネチア両映画祭出品を目指す。

 映画にこだわり、近年は海外にも活躍の場を広げる永瀬が、同じく海外で評価を高めるSABU監督の新作映画で世界に挑む。同監督は前作「天の茶助」をはじめ監督、原案、脚本まで担当するオリジナル作品も数多く手がけ、笑いを織り交ぜた独自な世界観に定評がある。永瀬は脚本を非常に気に入り出演を決めた。

 永瀬は、ボタンがついた奇妙なヘルメットを手に、活気を失った地方都市に現れる謎の男を演じる。ヘルメットには、かぶった人がボタンを操作すると脳裏に人生で最も幸福な瞬間がよみがえる奇妙な力があり、男が住民に幸せな記憶を呼び起こさせる物語だ。

 栃木県内での撮影を終え、永瀬は「SABU監督の作り出されたオリジナリティーあふれる物語。ぶれない撮影現場。初めて、やっと監督とご一緒できて、刺激的な撮影期間を過ごせました」と充実の日々を振り返った。同監督も「深い脚本の読み込みと、役柄への洞察力はずばぬけていて、それをぶれることなく体現できる技術のすばらしさには、ただ感動するばかり。永瀬さんなしに、これほどすばらしい作品を生み出すことはできなかったでしょう」と手応えを口にした。

 映画は3月にも完成の予定で、関係者は世界3大映画祭のカンヌ、ベネチア両映画祭出品へ向けて調整を進めている。永瀬は14年の台湾映画「KANO~1931 海の向こうの甲子園」に主演。昨年は「あん」がカンヌ映画祭ある視点部門に出品され、同映画祭に約四半世紀ぶりに参加し、「やはり映画は海を越えると思った」と語った。

 SABU監督も前作「天の茶助」が、ベルリン映画祭で最高賞金熊賞を争うコンペティション部門に出品され、俳優としても米の名匠マーティン・スコセッシ監督の新作「サイレンス」に出演した。2人が、世界挑戦への新たな扉を開く。

 ◆「ハピネス」 若者が都会に出て行き、活気を失った地方の町に、奇妙なヘルメットを持った神崎が現れた。ヘルメットの力で町は活気づき、神崎は町長から町にとどまって活性化するよう依頼される。ただ神崎には謎めいた過去があり、彼が町に来た本当の理由を知る者は誰もいなかった。D-BOYSの鈴木裕樹、奥田恵梨華、弾丸ジャッキーのオラキオらが出演。