スティーブン・スピルバーグ監督(69)が、最近議論になっている”白人偏重のアカデミー賞”問題について自論を語った。

 過去3度にわたりオスカーを受賞しているスピルバーグ監督は米ハリウッドリポーター紙による「アウォード・チャッター」のビデオの中で、「私はアカデミー賞の支援者だが、数人の人たちがノミネートされなかったことに驚いている」と語った上で、映画「ビースト・オブ・ノー・ネーション」のイドリス・エルバが助演男優賞候補にならなかったことや、悪名高きギャングスタ・ラップ・グループN.W.Aの自伝映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」が作品賞にノミネートされなかったことに言及。

 「イドリスの演技は助演男優の中でも最高の演技の一つだった。”ストレイト”も公開と同時に妻と一緒に観たが、世界を揺るがすほど素晴らしかった。候補に挙がらなかったことに驚いた」と語った。

 しかし、その一方で、これらの人たちが候補にならなかった事実をすべて、人種問題として説明することには異議を唱えた。

 「数年前にはルピタ・ニョンゴが映画“それでも夜は明ける”で助演女優賞を受賞した。同映画は作品賞も受賞したじゃない? アカデミー会員に白人が多いからといって、固有の人種主義があるとは思わない」と語った。

 アカデミーの理事会はすでに新ルールを作り、会員構成を変える方向で動いており、2020年までに女性や黒人などのマイノリティの会員数を2倍にすることを目標としている。すでに引退し、実質的に活動していない会員は投票権を失うことにもなる。スピルバーグ監督はこれについて、「引退した会員たちから投票権を奪うことについても、100%賛成できないね」と語った。(ニューヨーク=鹿目直子)