俳優篠原篤(33)が13日、都内の文京シビックホールで行われた第89回キネマ旬報ベスト・テン表彰式で、新人男優賞を受賞し「今日のような日が来るとは夢にも思っていなかった」と感激した。

 篠原は、ブルーリボン賞監督賞など本年度の国内の映画各賞を席巻する、橋口亮輔監督(53)の「恋人たち」に主演し、その演技が評価された。24歳で俳優を始めたが「僕にはお芝居の才能は1つもないと思いながら、必死にうだつの上がらないまま20代を過ごしました」と語るように、鳴かず飛ばずだった。「30までやれるだけのことをやろうと頑張っても、なかなかチャンスがなく、俳優を辞める才能もありませんでした」と苦しむ中、橋口監督主宰の演技を指導するワークショップに参加し、今回の映画に出演した。「諦めずに続けてきて、良かった」と目を潤ませた。

 「恋人たち」は、橋口監督の日本映画監督賞と日本映画脚本賞、そして日本映画ベスト・テンの1位に輝いた。橋口監督は、主演男優賞の嵐・二宮和也(32)に一瞬、視線を送った後、篠原と一緒に会場に来るまでに交わした会話を明かした。

 「ここに来る時も『どうする? ニノだよ!! 方やジャニーズのニノ、方や無職のシノ!! (同じ壇上に並び立つ)こんな日が来ると想像できた!?』と話していました」

 無名俳優ながら、歴史あるキネマ旬報ベスト・テンで新人男優賞に輝いた。「恋人たち」で見せた、迫真の演技への評価も高まっている。篠原は橋口監督から「おめでとう。ここから篠原篤の人生が始まります」と祝福されると、一礼した。そして橋口監督がきっかけを作り、二宮との握手も実現。篠原は着席前に二宮に深々と一礼した。