ペナルティのワッキー(43)と江守沙矢(27)寺田安裕香(22)が23日、東京・築地の日刊スポーツを訪れ、出演舞台「MOTHER マザー~特攻の母 島濱トメ物語~」(24日初日、東京・新国立劇場)について語った。

 舞台は、第2次世界大戦末期、鹿児島県知覧町にあった基地の特攻隊員が出撃直前に訪れた富屋食堂を経営していた島濱トメさんの波乱に富んだ半生を描く。

 3回目の出演となるワッキーは念願だった特攻隊長を演じる。「これまでの2回は憲兵。やっと念願の役をやれるので思いはひとしおです」と意気込みを示した。これまで自分の出番でなくても舞台の袖でずっと芝居を見てきた。「他の人のセリフもほとんど言える。自分がこの作品の一番のファン」という。

 昨年11月に死去した阿藤快さん(享年69)の遺作舞台でもある。「阿藤さんはどっしりとしていて、自分ではとても及ばないような味があった。いつも『大丈夫、大丈夫』と言っていて、『次回も必ずおれが出るから』と話していたと後で知って涙が出てきました。もっといろんなことを教わりたかった。今回もきっと天国で見てくれているはず」としのんだ。

 江守はワッキーの妻役。「昨年は客席から見ていて今回が初の出演です。祖父が戦争に行っていて子供のころに話をたくさん聞いていました。戦後71年。今回当時のことを自分たちもすごく勉強した。戦争を知らない世代の人にもこの舞台をぜひ見てほしい」と話した。

 寺田はなでしこ隊員役。「特攻隊員の身の回りの世話をする仕事です。劇中で隊員たちが食べる食事も、舞台裏で自分たちが作っています」。劇中で隊員たちに手渡しする安全祈願の人形も手作りだという。

 ワッキーは「誰が良い悪いということではなく、戦争そのものが悪い。この舞台が戦争について考えるきっかけになればうれしい」と話している。